328.頼むから ページ42
「淳太君に電話して
何を話そうとしたのかは分からない
でも」
「……」
「意識が完全に無くなる直前
窓に目を向けて呟いたのを
看護師さんが聞いていたんです」
…
『淳太くん見て
今夜は本当に星が綺麗だよ』
…
涙が枯れてしまいそう
漏れる嗚咽が止められなくて
俯いて必死に涙を拭う
………え？
でも
「…………星？」
昨日の午後から雨が降っている
今もまだずっと
「窓ガラスに付いた水滴を
星だと思ったのかな
そもそもメガネ掛けてないから
窓の外が見えるわけない」
そうや
ほななんで
「淳太君と、そんな話がしたかったのかも
そんな、他愛もない話をして
声が聞きたかっただけなのかなって」
アカン無理や
「ごめん……ｯごめんA……
ごめ………ｯ」
ワアワアと子供みたいに泣きはらす
俺の背中を撫でながら
お兄さんが静かに言った
「淳太君、ありがとう」
「ｯ…ﾋｯ……俺…何も」
「アイツが甘えたいって思える相手がいる
それだけで十分過ぎるくらい
淳太君に支えて貰ってるんだ
俺も、両親も、Aも」
「………ｯ……」
「本当にありがとう
辛い思いをさせてごめん
でも…全部伝えたかったから」
「……ｯ……ﾋｯ……」
「もう少しだけ
ワガママな妹をヨロシクね」
俺は何もしていない
彼女の必死の電話にすら
出ることが出来なかった
それでも
こんな風に信頼してもらえるのは
きっと
Aがそう説明しているから
ごめん
ごめん
電話出なくてごめん
星なんか出てへんやん
本当にってなんやねん
…
『淳太くんが居てくれてよかった
ありがと
本当に
幸せになってね絶対絶対絶対』
『色々背負わせちゃってゴメンね
淳太くんがくれた幸せ
何にも返せなくてゴメンね』
『本当にありがとう、淳太くん』
…
あの日の別れの言葉が
頭をよぎって余計涙が出る
嫌や
絶対嫌や
早く目ぇ覚ましてくれ
もう一度俺に電話掛けてくれ
次こそ絶対に出るから
どんなに夜中でも
仕事中でも
絶対に出るから
頼むから目ぇ覚ましてくれ
「A……A………！」
伝えたい気持ちはあるのに
言葉にならなくて
鼻を啜りながら
背中を撫でる優しい手に
余計に溢れる涙と嗚咽を
我慢すること無く吐き出した
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向日葵(プロフ) - かこさん» コメントありがとうございます！気がついたら残りが少なくて焦ってます汗あと10話程度に詰め込むか…続編にしてダラダラ書くか…縮めるような文才が無いのは致命的です笑のんびりお待ち下さいませ😊 (5月26日 9時) (
レス) @page37 id: 06dabafe54 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - お忙しい中更新ありがとうございます。本当に嬉しいです。今後の展開を想像するとギュッと胸が苦しくなりますが、最後まで皆の想いを見届けます！私も一気に読みたい気持ちと少しずつ読みたい気持ちがグルグル(笑)いい子にして更新をお待ちしててますね (5月26日 7時) (レス) @page37 id: 146cf31383 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - 凛さん» いつも優しいコメントありがとうございます(´；ω；｀)書きたかったシーンの１つでした。パスはスグに開放すると思うので、前作の２人がいちゃいちゃしてた辺りを読み返してください😊※私も読み返してます (2023年5月9日 12時) (レス) id: 06dabafe54 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 今日も今日とて切な苦しいですね｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ。素敵なお話共有してもらえて本当に有難い限りです。いつもありがとうございます。パス解除早くても早くなくても前作読み返したりしながらお待ちしていますね (2023年5月9日 3時) (レス) @page13 id: 4ef99da948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：向日葵 | 作成日時：2023年5月6日 19時
