【∞】腐の塊【鯨人】 (ページ19)

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※緑赤ページ19

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無防備だ。

と、大倉は思った。

自分の殻に閉じこもり安全だと分かった時だけにでてくるこの人、渋谷を、無防備だと思った。いつしか言われた、大倉とおると安心するという言葉が大倉の頭のなかで浮かんでは消える。その、安心すると思っている人が一番危険だなんて思いもしなかっただろう。簡潔に言えば、渋谷の目に映っている羊の格好をした大倉は、羊の皮を被った狼だったのだ。それを知らない渋谷は今自分が置かれている状況を理解できなかった。

「おおくら？」

少し警戒しながらこちらを向く。その顔があまりにも可哀想で可愛くて。大倉は少し笑った。ばからしい。さっさとその安心感というものを捨て去って警戒心だけをこちらに向けてくれればいいものの。この小動物のような渋谷は、大倉に押し倒されてもまだ、頭のなかでは警戒心で埋まらなかった。

「すばるくんがすきやで」

そう言って顔を近付けると、やっと抵抗し始めた。

「や…っ！おお、っくら！」

だが渋谷の弱い力では大倉の腕力には勝てなかった。

そう、そうやって抵抗して。

「…っふぅ、ん…っ！ぁ、…は、」

狂ってる。渋谷は目の前の狼を見てただそう思うことしかできなかった。羊の皮を被った狼だとも知らずに安心して近寄った自分もばかだ、と思うが、こいつはただ狂っているとしか思えなかった。同じ職業。同じグループ。同じ性別。すべてをトータルしてもこんなことしてはいけないと誰かが頭のなかの警報を鳴らした。

「ん、…っや、め…！おぉ…っく、」

「きもちええ？すばるくん」

「く…っそ……きもち、わるい…！！」

出たり、入ったり。初めての感覚にただ戸惑う。しかし、慣れというものは怖いもので、気持ちわるいと思っていたのが少しずつ少しずつ気持ちよくなっていく。それに伴って前が大きくなっていく自分の素直さが嫌になった。気持ちいい、ふとそう思ってしまう。

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