似た者同士の睨みあい～不器用な恋心～ (ページ10)

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○Story,8 ページ10

走りつかれて、途切れ途切れの息を整える私。

･･･自動販売機にジュースでも買いに行こう。
そう思い、再び歩き出す。

自動販売機にたどり着き、小銭を入れる。

―ピッ
私がボタンを押すと同時に、機械的な音が紫色の空に溶けていく。

―ガシャンッ

私は自動販売機の口から、水を取り出すとさっきの場所に戻った。

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ベンチに腰を下ろし、冷たい水を一気に体内へ注入させて行く。

外は寒いはずなのに、走ったせいか冷たい水がなんとも心地良い。

「ハァ」
本日、2度目の溜息。

『ため息つくと、幸せが逃げてっちゃうよ!』
ふと、昔誰かに言われた台詞が頭をよぎった。

「･･･幸せなんて、もうとっくに逃げてるっつーの。」

私はそう呟いて、また水をゴクゴクと飲んだ。