梶さんには好かれていないようです (ページ5)

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梶 side

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学生時代は成績もそこそこで
彼女も何人か、いた。
だけど彼女を作ったのも、いつまでも恋愛感情が湧かない自分が周りに置いてかれているのがわかっていたから。

見た目だけでも、形だけでも一緒にしようって。みんなに置いてかれている自分に焦っていたから。

きっと俺は、このまま普通の人間のように過ごす。

結婚だってするだろう。
でも一生、恋愛感情を知らないままなんだ。
ついこの間まで、そう思っていた。
だけど。

Aちゃんがここの事務所に来た。

挨拶をされた時。
目が合った時。
笑顔を見て……声を聞いたとき。
例えば、Aちゃんの癖の恥ずかしい時には髪の毛を耳にかける。そんな仕草一つ一つで。

経験がなかった感情が、
一気に溢れそうになる。
これはもしや……。
そう思うのには時間はかからなかった。

もしかしたら、これは……恋かもしれない。
新人の、まだメインはできないドジなAちゃんだったから「この感情は違うはず」って尻込んでいた昔の自分が懐かしく感じる。

梶「ああぁああ、また資料落としちゃったよ……っ。頑張って……！」

下「また言ってる」

遠くで台本を落としてしまったAちゃん。
僕と同じことしちゃってるよ、
勇気がなくて近づくことは出来ないけど
いつも(名前ちゃん)を見かける時は、
こうして遠くから応援。
もちろん、みやびには聞こえていない。

近くに来るたび
胸が張り裂けそうになる。
言葉で説明出来ないくらい

俺は君に酔ってるみたいだ。

梶「ねぇちょっと下野さん!!今のAちゃん見ましたか!? 癒されたー……」

下「はいはいそうだねぇ今日も頑張ってた……ほんと素直になりなよ梶くん」

梶「無理ですって!!」

こんなに恥ずかしいのに。
笑顔で喋る日は……この先、来なそうだ。
でも、それでいい。
それでいいよ。

とりあえず今は、俺の気持ちを説明している場合じゃない……

ｶｼｬｶｼｬ

梶「はぁ、可愛い」

梶「全部かわいいよ全部」

下･神･小「「「とうさつきんし！」」」

目の前のいつも可愛いけど今は一段と可愛いAちゃんをこのケータイで収めることが、大事だ。

Aちゃん好き。
そうだんだんと確信してから。

梶「てゆうか、スカート!!ずっと思ってたんだけど今日のスカート短いって」

　「まじ他の男やめろ！3人ともそんな目で見ないで！」

俺の悩みは更に増えた。