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二人が付き合うことになった大学四年の秋。
電話越しに嬉しそうな声色で、「Aちゃんと付き合うことになった」と告げられたとき
「おめでとう」なんて一ミリも思ってもいない言葉を吐き出して祝福のフリをした。
その嬉し気な声を、一秒も長く聞いてられなくて、適当な嘘をついて瞬時に電話を切った。
やるせない想いだけが湧き出て、涙も出なかった。
そのとき俺は、友達の恋を心から祝福なんて出来るほど、デキた人間じゃないことに気付かされた。
二人が付き合って三年と少し過ぎた頃。
「結婚考えてるんだ」と潤くんが俺に言ったとき、本気で苦しかった。
張り裂けそうなほど左胸を抉られた感覚を味わったのは、まだ君に未練が残り過ぎていたからだろう。
何にも憶えていないフリして、感情を隠すのに精一杯だった。
本当は何もかも、鮮明に憶えていた。あのときの記憶は全部。
回りくどい言い方でも、どうにか二人の関係を結び付けるのを食い止めたかった。
そんな浅はかな努力も、虚しく散ったけれど。自分の不器用さが、痛々しかった。
ずっと君を忘れられない想いだけが宙を舞ったまま、今日まで過ごしていた。
―――…このまま二人の間に亀裂が入ることなく二人が一緒になったら。
考えたくない未来は刻一刻と近づいていた。
未だに何も出来ないまま、行動に移せないまま、どうして俺は“友達のフリ”ばかりしてこの三年の間を過ごしてきたのか。
バカらしくなった。だけど温め続けて来たこの感情を、素直に曝け出せるほど俺はもう子供じゃない。
オトナになり過ぎた。
最終手段、結婚式で潤くんの隣で幸せそうに笑っているAを略奪してやろうかって考えた。
そんなこと絶対的にできるはずないのに。
ドラマみたいな非現実的なバカな考えに、笑えないほど苦しんだ。
ずっとずっと、君が欲しかった。
本当に手に入れたいモノほど、簡単に手に入れることが出来なかった。
触れることすら、難しかった。
女の扱いには慣れている方の俺が、君には触れることが出来なかった。
ああ…これが「恋」なのか。そう気付いたのは大学二年の夏の終わり頃。
多分、もっとずっと前から好きだった。
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やっち(プロフ) - こんにちは。パスワード教えてほしいです (2021年10月24日 8時) (
レス) @page50 id: cc7865b69e (このIDを非表示/違反報告)
妃紀(プロフ) - ともさん» 最後まで読んでくださりありがとうございました。お互い片想いしてたのですが、すれ違ってしまい、数年越しにやっと結ばれました！これから先は「結婚しよっか？」と彼は言い続けることでしょう(笑) (2019年10月29日 18時) (レス) id: ad41dd4440 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 初めまして。やっとここまで辿り着きました！お互いにずーっと片思い？すれ違ってやっと繋がれた。もぉー感動しかないです。｢結婚しよっか？｣の言葉に号泣。 (2019年10月26日 16時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
妃紀(プロフ) - えりさん» コメントありがとうございます♪最初は本当にじれったすぎて、甘さは控えめでしたが、最後はもう甘さの加速が激しかったですね(笑)こちらこそ、長い間お付き合い頂きありがとうございました。 (2019年2月5日 23時) (レス) id: ad41dd4440 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 完結ありがとうございます！ジレきゅん(^^)最初がジレジレだったので、最後のキュンのラストスパート最高でした！最初のジレが無かったんじゃないかと思うくらいの甘い終わり方、大好きです(^^)朝から幸せな時間ありがとうございます！ (2019年2月5日 8時) (レス) id: faf246fb32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年10月9日 20時
