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アクアパッツァとオムライスが運ばれてきて、「いただきます」と言って二人同時に口に運んだ。
「二宮って彼女いる？」
「今はいないでしょ、Aに一途だから」
何でこの質問をしたのか自分でも分からない。
だけど不意に重要なことだと思ってチエちゃんに尋ねた。
私は半年間二宮とは会っていなかったけど、チエちゃんは二宮と連絡を取っていたかもしれないから、知っていると勝手に予測した。
「でもさ、二宮だってあれから彼女ぐらいいたよね？」
「気になるの？」
「え、いや…」
気になるか、訊いている時点で気になっているんだろう。だけど改めてそこを言及されると困る。
チエちゃんは意地悪。
「大学卒業してから、とっかえひっかえしてたよ」
「え？」
「長続きしないし、本気で付き合ってない」
「・・・」
「Aのことずっと好きだからね、二宮は」
「嘘でしょ？」
「ホント」
オムライス一口ちょうだい、と言ったチエちゃんに、「私も一口ちょうだい」と言ってアクアパッツァを貰った。
二宮からはそういう恋愛の話をされたことがなかった。
半年前に会った時だって、ふらっと仕事帰りにパッタリ鉢合わせて、大学生の頃から続いている意味もない無駄なやり取りをしていただけ。
彼女いるの？とも訊けない。二宮も話そうともしなかった。
潤くんと上手くいってる？と訊く二宮に「うん」と返事をして、「煙草やめて」と言えば「やめない」と何度か繰り返した。
その前は、「潤くんと喧嘩した」と話せば「俺と付き合う？」と冗談半分で言われて
「何言ってんの」と軽く流せば「まだ好きなんだよお前のこと」と酔った勢いなのか呂律が回っていない声でそう言われた。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年4月10日 19時
