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電車に乗って三駅が過ぎたとき、「俺次で乗り換えだから」と隣に並んだ二宮が言った。
「そっか」
「鍵、持ってるよな？」
「うん」
「俺今日残業で遅くなるから」
「うん」
「新婚さんみたいだな」
「キモイからやめて」
「付き合おっか？…あ、いっそ結婚しちゃう？」
「二日酔い？」
「一缶しか飲んでねぇよ」
くくって喉を鳴らして笑う二宮に調子を崩される。
完全にごはん食べよっか？のテンションのそのフレーズは目を見て言われた。
無理に変換して胸の奥に刺さらないように阻止できた。
目を見て言われるその言葉は何だか上手くかわせることに気付く。
「じゃあな」
電車が停まると、二宮がひらひらと小さく手を振って降りていく姿を「じゃあね」と言って見送った。
新婚さんみたいだと言った二宮の言葉をふと思い出して気分が悪くなる。
ブルブルと余計な感情を取っ払うように頭を振って、そのまま三駅が過ぎたとき電車から降りた。
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だるいな…と感じながら会社のエントランスを抜ける。
月曜日はいつもこんな気分になる。
デスクについてポケットに入れていたスマホを取り出すと、ちょうどラインのメッセージが届いた。
『夜、ご飯食べ行かない？』
チエちゃんからのメッセージにほっと一息つく。
すぐにトーク画面を開き「いいよ」と返事をすれば、『また後で連絡する』と帰ってきた。
二宮は残業だと言っていたし、夜ご飯は別に一緒に食べないだろうなと思っている頭が意味もなく痛む。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年4月10日 19時
