想いの重さ ページ7
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ブランケットの匂いは相変わらず無臭。
また気持ち悪い行動をしていたことに気付きながら、ソファから起き上がった。
「はよ」
「おはよ」
腰痛いなぁ、とボソリと呟けば「俺のマネすんな」と少し不機嫌に言われた。
嫌味は意識の中の無意識だった。着飾った気持ちに意味はそれほどない。
「会社どこ？」
ひょこって寝癖がついた頭を掻きながら、二宮は大きなあくびを漏らした。
「…あ、ここから行き方分かんない」
「方向音痴かよ」
「否定できない」
「送ってやろうか？」
「遠慮しとく」
「可愛くねぇ」
「悪かったね」
「嘘だって(笑)可愛いよ」
フハって笑いながら思ってもいないことを口にする二宮。
軽いからかいの言葉にしか聞こえないのは私の性格の問題か。
「何とかいけそう」
今の時代スマホがあればどうにかなる。
眠たい頭を必死に起こして、会社までの行き方を調べてみた。
「電車？」
「うん」
「俺も電車だから途中まで行こっか」
「車じゃないの？」
そういえば金曜日は車じゃなかったなと思い出したら、「いつもは電車、ときどき車」と曖昧な返事に曖昧に納得をする。
深入りするのも面倒だし朝から余計なことを考えたくない。
ふわーんとまた大きなあくびを漏らした二宮が煙草を口に咥えたから、「煙草」と透かさず口を挟めば「やめない」と何だか穏やかな顔して微笑まれたから、すぐに目を逸らした。
「臭い」
「ありがとう」
「褒めてないんだけど」
「ありがとう」
白い煙がいつもより苦くなくて頭が痛い。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年4月10日 19時
