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風呂から上がれば「ほら」と渡されたのは缶ビール。
「待ってた？」
「うん」
「待ってないって言ってよ」
「何でだよ」
「調子狂う」
「意味分かんねぇこと言うなよ」
ただの当てつけだ。自ら墓穴を掘った私はどうかしていた。
多分随分と疲れていたんだ。
穏やかな日曜だと錯覚していたけど、本当は真逆の感情で埋め尽くされていた。
良くも悪くも二宮のせいでこの感情が見えにくかっただけで、気分は真っ暗だった。
プルタブを開けて一気にビールを喉に流し込む。
アルコールに酔いたい。だけどやっぱり都合よく酔えないから無駄な足掻き。
お酒に弱かったらよかったと初めて思った。いや、一昨日も同じようなことを思っていたっけ。
とりあえず簡単に能天気な頭にならないから困った。
「一緒に寝る？」
「酔ってたら頷いてたかもね」
「酔えよ」
「都合よく酔えないの」
「都合をつけろよ」
結局今日も無駄を繰り返す。
二宮がこのやり取りに付き合ってくれるからやめられない。
今のはきっと二宮から仕組んだから、二宮もきっと私と同じで無駄を繰り返すことが好きなんだと勝手に決めつける。
歳以外に共通点なんて見つからないと思っていたのに、勝手に共通点を増やしてしまった。
ああ…バカだ。バカな思考をアルコールのせいにしたい。だけど出来ないから悔しい。
見かけだけ穏やかで、今日はとんでもなく調子を狂わされていた。潤くんにも、二宮にも。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年4月10日 19時
