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レポートに取り掛かったのは二宮のゲームがちょうどいいタイミングで終わったとき。
それからダラダラと脱線しながら２時間半かけてレポートが完成した。
「終わったー」
ウーン、と固まった身体を伸ばしたら、「私バイトだから帰るね」とチエちゃんが言った。
「お疲れ〜」
二宮がひらひらとダルそうにチエちゃんに手を振る。
私も帰ろうかなって思いながら急いでレポートを鞄に仕舞った。
「Aも帰るの？」
「もう用事ないし」
「今日の講義のノート見せて」
チエちゃんが足早に玄関へと向かう。どうせ一緒にここを出ても帰り道は違う。
二宮のその言葉にもう少しいようかなって思いながら、三限の講義のノートを取り出して二宮にそれを渡した。
「サンキュ」
「疲れたから寝ていい？」
「ご勝手にどうぞ」
何で許可を取ったのかを少し後悔しながらソファに横になる。
二宮には大して気を遣う必要もない。
疲れたから少し休んでから帰ろうかなって思っていたら、いつの間にかウトウトして夢の世界に落ちていた。
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「…んっ」
浅い眠りを繰り返していたせいか、現実と夢が混在しているのかと思った。
考えればこんな夢を見ているのも可笑しな話。
ふと額に温かみを感じたのが妙にリアル。
まだ眠気があるせいで目を開けるのを渋った。
二宮が私の額にキスをした夢を見るなんて気持ち悪い。
気持ち悪さに眠気を振り払って、パチッと目を開けた瞬間だった。
「…え」
「え」
目を開けて一番に視界を埋め尽くしたのは二宮の顔。
夢か現実かの境目が見つからない。二宮の薄い茶色の瞳の中に私が見えた。
二宮が心底驚いた表情を浮かべていて、いつもしれっとしている二宮にしては珍しいなって思っていれば
「…ゴミ、ついてた」
なんて意味の分からない言葉を紡いでいた。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年4月10日 19時
