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「暇なら付き合って」
随分と久しぶりに電話を繋げた。半年ぶりにAと会う。
この会わない期間には意味があった。
俺はもうAを忘れようとしたんだ。
半年前にふらっと仕事帰りに会ったあの日に決めた。
潤くんと上手くいってる？と訊きたくもないことを自ら口に出し、それに頷いたAを見て決めた。
俺に入り込む隙間は一ミリもないんだ、と何となく思ってしまっていた。
自分から連絡をしない、当然Aから連絡が来るわけでもない。
俺たちは、そういう関係だった。
どうしようもない気持ちにそろそろ苦しくなった。限界がきたんだと。
そう、思っていたくせに・・・
「煙草」
「やめない」
「やめてよ」
「やめない」
俺は諦めが悪かったようだ。
要領の悪い意味のない会話。ただの意地の張り合い。
懐かしさに胸が痛くなる。限界が来たと思っていたくせに、限界などなかった。
俺が折れれば終わる話。だけど折れたらダメだった。
このやり取りに線引きをして、この気持ちを無駄にはしたくなかったから。
要領の悪いことが嫌いな俺の意地。
ルーティン的会話が、ただ好きだった。
「そろそろ俺と付き合う？」
冗談が、本気に変わった。
「友達」の線引きを越えて、「恋人」になりたいと本気で思った。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年4月10日 19時
