□ ページ23
.
一瞬のうちに何が起こったのか分からなかった。
都合よく酔えないくせに、今日に限ってアルコールに酔っていた。
鈍い頭のせいで上手く思考が回らない。
「強引にキスだってできるし、お前の力じゃ俺を振り払えない」
視界を占領した二宮の目が変わった。
グッと肩を押さえる手の力が強い。
こんなに力あるんだ、と冷静に考えている私はバカだ。
だけど、危機感なんてどこにもなかった。だから、冷静で居られている。
「…二宮は、しないよ」
「は？」
「する気もないでしょ？」
グッと押さえつけられていた力が抜けた。二宮がハ、と短く息を吐く。
「自分の理性の強さに呆れる」
そう言って二宮は私から離れて、「風呂入って来るわ」と言い捨ててバスルームに消えて行った。
ソファに倒れ込んだ身体を起こして、流れるテレビに目を向けた。
相変わらずアハハ！という笑い声が聞こえてくる。
結局私たちの関係はこれ以上でも以下でもない。
潤くんを忘れることが出来たら、変わることができるのかもしれない。
それまではきっと二宮と私の関係は変わることもない。
変わらない二宮の想い。
変わらないループが恋しかった。
私が変われば、世界は動き出す。
分かっていても、分かりたくなった。
こうしてまた矛盾をいつまでも繰り返す。
二宮が、恋しい。
私の想いは99％傾いていた。
あと１％を見つけるのが難しい。
あの頃の気持ちを当てはめることが、難しい。
「恋」が色付かずに色褪せたあの頃の気持ちはもうないから。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1721人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：妃紀
| 作成日時：2018年4月10日 19時
