負け続きのルーティン ページ16
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化粧も落とさずに眠った自分に後悔したけど、ベッドで二宮と一緒に寝てしまったことの方が後悔が大きい。
目を開けると同時に感じた、足に絡みつく生温かい人肌。
は？って思いながら、ガバッと勢い良く身体を起こせば、「んっ」と隣から聞こえた妙に甘ったるい声。
「二宮」
「…んだよ」
「殴っていい？」
「は？」
「二宮って寝相悪い？」
「うん」
「嘘だ」
「嘘じゃねぇよ」
触れるな、と言ったはずだし、ギリギリまで端に寄って寝ていたはずなのに、二宮がすぐ隣にいた。
トロン、とした目をして、ふわーんと呑気にあくびを漏らす二宮は至って平常心。
寝相悪い？って訊く私もバカだった。
こうなってしまったことを不可抗力として理由付けたかったくせに自ら失敗へと導いた。
本当に二宮の寝相が悪いせいで、と捉えて終わりにすればいい話なんだろう。
だけど二宮の性格には難が有る。
そこを踏まえたらこうなってしまったことを簡単に済ますべきではない、と朝から余計に頭を使ってしまった。
考え過ぎてしまうこの性格を悔む。ノリで乗り越えたい。だけど出来ない。
はあ…と深いため息を吐けば、「何もしてねぇよ」と二宮が言う。
絡んだ足はただの無意識だったのかよ、と突っ込みたかったけど寸前でやめる。
不可抗力として認めよう。
結果的に二宮の言葉を信じてベッドから降りてバスルームに向かうことにした。
「はあ…」
もう一度重たいため息を吐けば、「幸せ逃げるぞ」と二宮の声が聞こえたけど聞こえないフリをする。
肌の調子がすこぶる悪いだろうな…と思いながら洗面所の鏡を見れば、予想以上に悪くて気分が落ち込んだ。
化粧を落として眠らなかったことの方が、後悔が大きかった。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年4月10日 19時
