□ ページ15
.
顔まで被っていた布団からゆっくりと顔を出せば、パチンと薄茶色の目と目が合う。
「何もしねぇよ」
そう言って布団の中に入って来た二宮。
ふわっと温かさが伝う。風呂上がりのせいで余計に熱を感じる。
「…嫌だ」
「反応おせぇな」
「聞こえなかった」
妙に甘さを感じたその声に不覚にもドキリと心臓が跳ねたから、と馬鹿正直に言い訳することも出来ないから、黙って二宮の薄い胸板を押して抵抗をして見せる。
「じゃあもっかい言ってやるよ」
「言わないでいい」
「一緒に寝よっか」
「言わないでいいって言ったんだけど、やっぱり二宮耳悪いでしょ？」
「悪くねぇよ。お前の方が耳悪いだろ」
胸を押したくせに微動だにしない。細いくせに二宮も男だということを思い出す。
私より細いんじゃないかって思っていたけど、筋肉がしっかりあって男らしさを感じてしまったことに一撃を食らった。
「いやらしく捉えなきゃいいだけのことだろ？」
その隙に、ガシっと手首を掴まれ無駄な抵抗も出来なくなった。
振り払おうとしても強い力で掴まれているせいか力が入らない。
・・・二宮のくせに。
男らしさを見せつけられ、勝手に敗北感に襲われる。
「身体に触れたら殴るから」
「Aのパンチなんてお安い御用(笑)」
「ムカつく」
「お前風呂入んない気？」
「朝風呂する」
手首を掴んでいたその手が離れて、くるんと二宮に背を向けた。
ギリギリまで端に避ければ「傷つく」と後ろから二宮の大して傷ついたような口調でもない声が聞こえた。
当然無視をして目を閉じる。もう色々考え事をし過ぎたせいで疲れた。
「おやすみ」
「…おやすみ」
おやすみ、と目を見ず挨拶だけをかわす。
くすぐったくなる胸の内をどうにかしたい。
些細な言動が痛くて嬉しい自分が分からなくて困る。
四日目の夜が終わる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1721人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：妃紀
| 作成日時：2018年4月10日 19時
