あと一歩が踏み出せない。

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こうして全員のヘアメイクという初仕事を終えたAは、撮影に入ってメイクや髪型の崩れがあればその都度直していた。


亜嵐の髪型の崩れが気になったので、ちょうど直していたその時。


亜「Aさん今日って夜予定あります？」

「いや、特に」

亜「今日僕らもちょうど夜スケジュールなくて。よかったら歓迎会、させてくれませんか？」

「え、いいんですか？」

亜「もちろん。俺らのことも知って欲しいし」


そしたら好みもわかってくるかもしれないし、と亜嵐に提案され、少し気は引けたが、せっかくの機会だと思い行くことにした。


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「「お疲れ様でしたー」」


長丁場の撮影を終えて、やっと帰宅できる時間になった。


龍「Aちゃん、行けます？」

「あ、はい」

龍「ほな行きましょ」


そう言って龍友は誘導してくれて、一同は移動車に乗り込んだ。


ジェネのメンバーに囲まれて、ちゃっかり移動車に乗っているこの状況に、少し気が引けている様子のA。


「あの...私乗ってよかったんですか？」

隼「今からAさんの歓迎会なんですから」

「いや、でも...」


片側に隼、片側に龍友という状況に、心が追いつかないA。


龍「僕の隣嫌でした？(笑)」

「いや、そういうわけじゃなくて」

隼「すぐ意地悪する(笑)」

龍「可愛い子いじめて何が悪いねん(笑)」


恥ずかしげもなくサラッと言った龍友に、Aの頬は少し赤くなる。


龍「え、めっちゃ可愛いやん」

隼「はい、そこまで！社内恋愛禁止！」

亜「えー、禁止なのー？俺もAさんのこと可愛いと思ってたのにー」

「あ、あの...」


恥ずかしくてこの状況をどうにかしたかったが、一同が騒いでいてAの声は届かない。


「うぅ...」


どうしようかと、頭を抱えていたその時に口を開いたのは裕太だった。


裕「お前らうるさいねん。Aさん困ってるやろ」

メ「え、裕太くん？」

裕「Aさん困ってるやろ」

玲「え、なんかごめん」


特に騒いでいなかった玲於ですら、裕太の言葉にびっくりして謝罪している始末。


涼「裕太くんの言う通り」

隼「大人気ないわー」

龍「え、俺！？亜嵐ちゃんやろー」

亜「えー、俺かい！」


こうして裕太の助けもあり、目的の店へと到着した。


到着した先は、個室の焼肉店だった。


ゾロゾロと席に着いて、Aは必然的に壁側に座っていた裕太の隣に座ることに。


反対隣は亜嵐だった。







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