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こうしてやっと待ちに待った映画が始まった。
Aも裕太も見たかった映画なだけあって、終始集中していた様子。
エンドロールに差し掛かり、裕太がAの手を握った。
「?」
裕「行こ、今のうち」
そう言って裕太が立ち上がるので、Aも慌ててついて行った。
裕「はよ出よ。龍友くんたち来る前に」
「え?うん...」
早歩きで裕太が手を引いて、映画館を後にした。
2人はタクシーに乗り込み、最寄り駅まで向かう。
裕「ごめんな?初めてのデートやったのに」
タクシーの中で裕太がそうぼやいた。
「平気だよ?楽しかった」
裕「Aちゃんがそう言うならええんやけど」
「龍友くんの彼女さん、美人だね」
裕「そうやなー」
そんなに多くは話さなかったが、あっという間に最寄り駅に着いた。
裕「なんか食べようか」
「うん、そうだね」
裕太はそう言うと、ん、と手を差し出す。
Aが笑顔で握り返せば、まるで青春ドラマのワンシーンのよう。
裕「なんか食べたいもんある?」
「んー、お腹は空いてるけどこれっていうのはないなー」
裕「この間通りがかって気になったところあんねんけど、そこ行っていい?」
「うん、行きたい」
こうして2人は裕太が気になった店に入った。
「こんなおしゃれなとこあったんだ」
裕「男同士じゃ入られへんなって思ってん(笑)Aちゃんと来たいなって思った」
雰囲気のお陰か、恥ずかしがらずにそう言った裕太。
「裕太くんって時々大人の顔見せるから、私の心臓忙しい...(笑)」
裕「...俺やって男やし」
「わかってるよ?」
こうして2人は注文を済ませ、しばらく話に花を咲かせる。
「そっかー。じゃあ裕太くんの昔からの友達が、龍友くんの彼女なんだ」
裕「ん、そう...まぁ、昔俺も好きやってんけど」
隠すのもおかしいと思い、正直にそう言った。
「そっかー。素敵な人だったもんね」
特にヤキモチを妬く様子もなくそう言ったA。
裕「妬かへんの?」
「ん、妬かないよ?だって本当にいい人だったもん」
そう言いながらビールを流し込めば、裕太は少し不服そう。
「そんな顔しないで(笑)」
裕「何でAちゃんそんな大人なん」
「そんなことないけどな」
裕「俺なんて、さっきからどうやってAちゃんにうちに泊まってもらおうか考えてるのに」
裕太がそう言うと、ピタッと動きが止まる。
裕「え...?」
「な、何でもない!」
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べてぃ。(プロフ) - 龍さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです(^^)私自身いつも裕太くんに母性をくすぐられてるので(笑)これからもよろしくお願いします。 (2019年9月22日 16時) (レス) id: adc0117cbb (このIDを非表示/違反報告)
龍 - べてぃ。さんの書く裕太くんがめっちゃ可愛すぎます!!癒されましたぁ!これからもがんばってください! (2019年9月22日 14時) (レス) id: 39b806bb30 (このIDを非表示/違反報告)
べてぃ。(プロフ) - hasamiさん» 私がどれだけ裕太くんに母性をくすぐられてるかが出ちゃってますね(笑)そう言っていただけて嬉しいです(^^)引き続きよろしくお願いします! (2019年9月17日 23時) (レス) id: adc0117cbb (このIDを非表示/違反報告)
hasami(プロフ) - べてぃさんが描く裕太くんが、ちょっとだけ子供なところが堪りません(笑)可愛いです(笑)今回もとても面白かったです! (2019年9月17日 22時) (レス) id: 88809e26ca (このIDを非表示/違反報告)
べてぃ。(プロフ) - あさのさん» いつもありがとうございます。途中少ししつこいかな?と思ったりもしましたが、そう言って頂けて嬉しいです(^^)これからもどうぞよろしくお願いします! (2019年9月17日 1時) (レス) id: adc0117cbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べてぃ。 | 作成日時:2019年9月13日 23時