あと一歩が踏み出せない。

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裕「あ、すいません」

「いや、大丈夫です」


意外と律儀なとこあるんだなって、少し微笑ましかった。


あっという間に裕太くんのセットも終えて、次にやってきたのは玲於くん。


玲「お願いします」

「こちらこそお願いします」


色が白くて、肌も綺麗で、白人の男の子みたいで可愛い。


それが私が受けた印象だった。


最初こそ、下の名前で呼んでくださいとか、出身地とか、休みの日に何してるかとか聞かれたけど、メイクの途中で睡魔に負けたらしい玲於くん。


「玲於くん、終わりました」

玲「あ...やべ、寝てた」


可愛い...って悶えそうになったのは、今も内緒。


玲「涼太くんやってもらえば」

涼「あ、じゃあお願いします」


そう言ってやってきたのは片寄くん。


長身で、可愛らしい顔をしてるけど、かなりしっかりしてるなっていう印象を受けた。


「よろしくお願いします」

涼「お願いします。すいません、寝不足で肌荒れちゃってて」

「大丈夫ですよ」


ちょうど映画の撮影が重なってて、あまり睡眠が取れてなかったらしい。


涼「あ、僕のことは涼太って呼んでくださいね」

「涼太くん、了解です」

涼「僕もAさんって呼んでいいですか？」

「もちろんです」

涼「なんかスキンケアとか何したらいいか教えて欲しいんですけど」

「いいですよ！あとで教えますね。ちょっと肌質だけ見させてください」


化粧品とかスキンケアとか、色々と見るのが好きで、独学だけど勉強しておいてよかったって、この時思った。


「ちょっと乾燥してますね。あとでケアの方法教えますね」

涼「わー、めっちゃ助かります」


ありがとうございます、って鏡ごしに目を合わせて言った涼太くんの顔が、少女漫画に出てくるキャラクターみたいで、思わず目を伏せてしまった。


「よし、完成です。じゃあ最後は...小森くん、お願いします」

隼「お願いしまーす」


人懐っこっそうで、ムードメーカーな彼はお話も上手で、初対面って感じがしなかった。


隼「Aさんってコーヒー好きですか？」

「んー、カフェラテ飲む方が多いですかね」

隼「苦いの苦手な感じですか？」

「うん、ちょっと苦手かも」

隼「アレルギーとかはないんですよね？」

「ないですよ」

隼「僕コーヒー好きなんで、今度Aさんの分も淹れてきますね！」

「え、いいんですか？」

隼「もちろん」







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