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裕「もう少しで着くから」
「ん、わかった」
裕「離れたらあかんから...」
そう言って裕太は遠慮がちにAの手を握る。
「裕太くん...人がいっぱいだから」
裕「やから繋ぐんちゃうん?」
いつもと違った大人の余裕を見せた裕太に、返す言葉が見つからなかった。
やっと辿り着いたお店で、無事個室に入ることができた。
裕「俺の奢りやから」
「ん、ありがとう」
1番豪華な海鮮丼を頼んでくれた裕太に感謝しながら、2人はいただきます、と食べ始める。
裕「ん、やっぱうまい」
「ん、おいしいね」
裕「そういえば来週、髪色変えようと思っててん」
「そうなんだ。何色にするか決めた?」
裕「何色がいいと思う?」
そう言ってAの方を見れば、髪の毛を見つめながら真剣に考えている様子。
「んー...今が赤だから、逆に青とか?(笑)」
裕「ほんまに真逆やな(笑)」
「んー...でも」
裕「ん?」
「オレンジとか似合いそう。赤みが残ってる感じのオレンジ」
裕「オレンジかー...考えてみる」
「ん、楽しみにしてるね」
裕「ありがとう」
数口食べたところで、今度はAが口を開いた。
「私も前髪切るか悩んでるんだけど...流してた方が大人っぽいかな?」
裕太に聞くのはお門違いかも、と思いつつ、様子を伺う。
裕「んー...流してるのも好きやけど」
「やっぱそうかな」
裕「でも前髪作ってるAちゃんも見てみたい」
裕太にそう言われ、見る見るうちに顔が赤くなるA。
裕「え、待って。俺あかんこと言った...?」
あかん、恥ずかしい、と裕太の顔もほんのり赤くなっていく。
「「ははっ(笑)」」
「なんか面白いね(笑)」
裕「やな(笑)」
こうして2人は食事を済ませ、家路につく。
今日も当たり前のように駅前で降りて、家までの道のりを歩く。
「もうさすがに道覚えた?」
裕「覚えてるよ(笑)」
「ならよかった(笑)」
慣れた様子で会話を交わす2人の手は、今日も握られている。
「裕太くん」
裕「ん?」
「今日はごちそうさまでした」
裕「この間Aちゃんがご飯作ってくれたやん」
そのお礼、と少し前を歩く裕太の耳が赤くなっていたような気がした。
裕「そういえば」
「ん?」
裕「なんか見たい映画見つかった?」
「んー...最近映画チェックしてなかった」
裕「なんかあったら言ってな」
「うん、ありがとう」
こうして今日もマンションの前で別れた。
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べてぃ。(プロフ) - 龍さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです(^^)私自身いつも裕太くんに母性をくすぐられてるので(笑)これからもよろしくお願いします。 (2019年9月22日 16時) (レス) id: adc0117cbb (このIDを非表示/違反報告)
龍 - べてぃ。さんの書く裕太くんがめっちゃ可愛すぎます!!癒されましたぁ!これからもがんばってください! (2019年9月22日 14時) (レス) id: 39b806bb30 (このIDを非表示/違反報告)
べてぃ。(プロフ) - hasamiさん» 私がどれだけ裕太くんに母性をくすぐられてるかが出ちゃってますね(笑)そう言っていただけて嬉しいです(^^)引き続きよろしくお願いします! (2019年9月17日 23時) (レス) id: adc0117cbb (このIDを非表示/違反報告)
hasami(プロフ) - べてぃさんが描く裕太くんが、ちょっとだけ子供なところが堪りません(笑)可愛いです(笑)今回もとても面白かったです! (2019年9月17日 22時) (レス) id: 88809e26ca (このIDを非表示/違反報告)
べてぃ。(プロフ) - あさのさん» いつもありがとうございます。途中少ししつこいかな?と思ったりもしましたが、そう言って頂けて嬉しいです(^^)これからもどうぞよろしくお願いします! (2019年9月17日 1時) (レス) id: adc0117cbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べてぃ。 | 作成日時:2019年9月13日 23時