あと一歩が踏み出せない。

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__ASide__






「ちょっと衣装見させてもらいますね」


私は今日の衣装の雰囲気を見たくて、ひとりひとりの名前のタグが貼られた衣装をくまなくチェックした。


雰囲気を掴んでおきたかったから。


「じゃあ...早速ヘアメイクに入りますね。誰からしましょうか？」

龍「僕お願いします」


元気よく名乗り出てくれた数原くんからヘアメイクをすることになった。


「よろしくお願いします」

龍「かっこよくお願いしますね！シュッとした感じで(笑)」


冗談を言ってくれて、私の緊張を和ませてくれた。


龍「僕一個下なんで、気軽に接してくださいね」

「ありがとうございます」


まずはメイクから。


男の人のメイクって、美容室じゃすることないから新鮮だった。


数原くんはヒゲもあるし、緊張したけど、肌も綺麗ですごくやりやすかった。


龍「なんか緊張するわー(笑)」

「それを言うなら私の方が緊張します(笑)」

龍「Aちゃんって、呼んでいいっすか？」

「もちろん」

龍「Aちゃんは、ここに来る前は何してたんすか」

「実家が美容室なんで、そこで働いてました」

龍「へー。家は継がなくていいんすか？」

「メイクとアレンジの方が好きで。だから意を決して応募したんです」

龍「そっかー。好きなことしてた方が楽しいですもんね。一度きりの人生やし」

「ですね。まさにそう思って応募したんで、受かってよかったです」


たわいもない話をしながら、あっという間にセットが終わった。


龍「終わったでー、メンさん行ったらどうっすか」

メ「あ、じゃあお願いします」

「お願いします」


次にやってきたのはメンディーさん。


グループの中では唯一の年上。


メ「緊張しなくていいんで」

「あ、はい(笑)」

メ「なんか緊張してそうだったから(笑)」

「まぁ...さすがに初日なんで(笑)」


メンディーさんも肌が綺麗で、髪の毛はセットするところがないから、あっさり終わってしまった。


ずっと話しかけてくれてて、年上だし、タメ口でいいですよって伝えた。


亜「次、僕お願いします」

「はい、お願いします」

亜「Aさん...って下の名前で呼んでもいいですか？」

「もちろん」

亜「俺年下だし、タメ口でいいんで」

「いや、でも...」

亜「じゃあ少しずつ、ね？」


造形美とはまさにこのことってくらい綺麗な顔立ちで、見つめられたら吸い込まれそうなくらい綺麗な亜嵐くん。






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