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裕「一緒に...」
「え?」
裕「一緒に行ってくれへんの」
そう言って裕太はAの手を再び握った。
「私...と?」
裕「他に誰がおるん」
「そうだね...(笑)」
一緒に、と誘われたことと、再び握られた手と。
どちらに意識を向けていいかわからず、困惑してしまった。
裕「明日...」
「ん?」
裕「明日何時に事務所行くん」
「明日は11時」
裕「じゃあ明日行こ」
「え?」
裕「朝待ち合わせて行こ。9時半に家の前に集合な」
手を繋いでいるというのに、人1人分くらいの距離があって。
手はしっかりと握られているのに、視線は向こうを向いている。
そんな裕太を見てクスッと笑ったA。
「うん、わかった(笑)」
裕「何笑ってんねん」
「ごめん、何でもない(笑)」
裕「1個しか変わらへんのに、何でそんな大人なん」
「大人じゃないよ?」
裕「いーや、大人や」
「だって私...今すっごいドキドキしてるもん」
そう言って軽く裕太の手を引けば、裕太は立ち止まって驚いたようにAを見る。
「暗いから助かってるけど...多分顔も赤い」
余裕ないよ、と恥ずかしそうに下を向く。
裕「...はよ帰ろ。寝坊したらあかんから」
ぶっきらぼうにそう言って、Aの手を引いて歩き始める。
「裕太くん、こっち!」
適当に歩いてしまった道が間違っていたようで、再びAに手を引かれてしまった。
裕「はよ言ってや」
「ごめんって(笑)」
こうして手だけ繋いで、会話も視線も交わさず、あっという間に家の前まで着いてしまった。
「そういえば...」
裕「ん?」
向かい合って、握られた手をブラブラと揺らしながらAが話しかける。
「ドレッサー、いいの見つかったから、今注文してるんだ。来週届く」
裕「長かったな」
「うん、でもやっとしっくりきたから」
裕「よかったやん」
「届いたら...見に来る?」
前に言ってたじゃん、と恥ずかしそうなA。
裕「ん...行く」
「わかった。じゃあ...届いたら教えるね?」
裕「うん、待ってる」
「じゃあ、明日9時半にまた」
裕「おやすみ」
「ん、おやすみ」
こうしてAがエレベーターに乗ったのを見届けて、裕太も帰宅した。
家に着いてもドキドキが止まらなかったAは、とりあえずお風呂に入って気持ちを切り替える。
「何だったんだろ...」
握られていた手を見つめ、湯船に沈める。
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べてぃ。(プロフ) - 龍さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです(^^)私自身いつも裕太くんに母性をくすぐられてるので(笑)これからもよろしくお願いします。 (2019年9月22日 16時) (レス) id: adc0117cbb (このIDを非表示/違反報告)
龍 - べてぃ。さんの書く裕太くんがめっちゃ可愛すぎます!!癒されましたぁ!これからもがんばってください! (2019年9月22日 14時) (レス) id: 39b806bb30 (このIDを非表示/違反報告)
べてぃ。(プロフ) - hasamiさん» 私がどれだけ裕太くんに母性をくすぐられてるかが出ちゃってますね(笑)そう言っていただけて嬉しいです(^^)引き続きよろしくお願いします! (2019年9月17日 23時) (レス) id: adc0117cbb (このIDを非表示/違反報告)
hasami(プロフ) - べてぃさんが描く裕太くんが、ちょっとだけ子供なところが堪りません(笑)可愛いです(笑)今回もとても面白かったです! (2019年9月17日 22時) (レス) id: 88809e26ca (このIDを非表示/違反報告)
べてぃ。(プロフ) - あさのさん» いつもありがとうございます。途中少ししつこいかな?と思ったりもしましたが、そう言って頂けて嬉しいです(^^)これからもどうぞよろしくお願いします! (2019年9月17日 1時) (レス) id: adc0117cbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べてぃ。 | 作成日時:2019年9月13日 23時