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fk「ただいまぁ、」
照は映画のプロモーションがあって一旦わかれたから、俺がいる送迎車ではまあひやかしがうるさくて。うん、つかれた。
玄関の受け皿に鍵を置いて、今朝置いたばかりのそれを指に通すと体温を纏う。
外ではつけないかわりに帰ってきたらすぐつけられるようにと2人で決めた、ペアのシルバーリング。
大切なものだから何となく外気に触れさせたくなかったし、照も他のやつらには見せたくないなんて言うからちょうどよかった。
内側にはシークレットストーンとしてお互いの誕生石のエメラルドが埋め込まれていて、幾つか意味がある中に“夫婦愛”もあるしい。結婚なんてできるわけないけど、その意味に守ってもらえてる気がするんだ。
fk「さて、と。…ん〜、何からすればいいの？」
照の喜ぶ顔が見たくて、炒飯を作ろうと意気込んだはいいものの、手を洗って腕まくりをしたまま腕を組んで早5分。少し寂しいのを紛らわすようについ独り言が多くなる。
fk「まずは米だよな、うん、…どこ置いてあんだっけ？」
水の量はわかっても炊飯器の使い方がわからずボタンをぽちぽち押しまくったり。
fk「みじん切りってどうやんの？」
ネットで調べたら解決するのはわかってんだけど、頼りたくねぇと意地が顔を出した。
fk「あ、っ焦げた！ぅ〜、もう1回やるか、」
無駄にこだわったせいで卵の殻の山ができて、米よりそっちの方が量多い気がするけど、…味見したら悪くはなかったし、、よしとしよう。
iw「ただいま」
fk「！、おかえりっ」
iw「なんかいい匂いすんね」
fk「炒飯、作った、」
iw「まじ？たのしみ」
いひ、とはにかんで抱きついてきた体を受け止めるとふわんと甘い香りが鼻を刺して。
すぐ嫉妬するくせに自分が接近されてることには鈍感な照にも、あの共演者の子の匂いかと、すぐ察してしまった自分にも、もやもやした。
iw「ふっか？」
fk「ん、…なんでもね、」
そうだよな、辰哉なんて呼んだのも、さっきからかっただけで。
…なんて、頭を振って卑屈な思いを取り払った。
iw「いただきます」
fk「あい、どーぞ」
iw「、んふっ、おいしい！」
fk「よかったわ〜」
iw「ふっかも早く食べな」
形だけ一丁前にできたお椀型のそれをレンゲで崩すと、みじん切りを諦めたごろついた玉ねぎが登場して思わず苦笑する。ま、照が喜んでくれたんならいいや。
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作者名：微.
| 作成日時：2022年7月22日 0時
