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fk「震えてる、」
ドアノブを握っていた手がふっかさんの両手につつまれる。
fk「なんで、？」
俯いてく唇をこれでもかと噛み締める。痛みに集中すればいいんだ。
fk「めぐろ！」
手を握られたまま顔をあげさせられた。
mm「…言いたくないっす。とにかく無理なんで」
声まで震えてるし、ダッサ。
口に広がる鉄臭い血の味はクソマズくて。唾を吐きたくなったけど、飲み込んだ。
fk「俺、今日までは欲がないんだと思ってた。でも、そういうわけじゃないんでしょ？さっき、トイレで聞いた」
安心してたのに聞かれてたのかよ。最悪。消えたい。
fk「風呂でもずっとよそよそしいしさぁ。聞かせてよ、目黒の気持ち。俺目黒の恋人じゃないの？」
mm「…ふっかさんにはわかんないっすよ、俺の気持ち」
fk「え、？」
mm「好きすぎてどうしたらいいかわかんなくて、自分の手で壊しちゃうんじゃないかって不安なんすよ！こわくてたまらないんです、」
fk「なんで言わないんだよ！」
mm「言えるわけないじゃないすか！こんなへたれた根性なんて！女々しい奴だって幻滅されるだけだし」
fk「俺の判断まで勝手に決めつけんなよ！俺だって不安だったんだよ！グイグイ近づいてきて勝手に惚れさせといて手出せないだ！？ふざけんな！」
ふっかさんにはじめて怒りの感情を向けられて、思わず押し黙る。
fk「なんでも言い合うのが恋人なんじゃないの？」
…そうやって、瞬時に優しく落ち着かせるような声色に変えんの。
mm「ずるいっすよ、ふっかさんのそういうとこ、だいっきらい」
fk「俺は目黒のぜんぶがすきだよ」
mm「…ふっかさんのばか」
fk「いいよ？ばかで結構」
観念して力が抜けた俺をふっかさんはマットレスに導いて、向かい合わせで座る。
fk「どんな目黒も俺は受け入れるよ。だって俺は、目黒を選んだんだから」
ふっかさんのその言葉を合図に、あとはもう無我夢中だった。お互い磁石みたいにしがみついて、血が滲む俺の唇をふっかさんは唇で撫でて、ばかだなあ、と呟いた。鉄臭い唾液が絡まって、鼻に通ったツンとしたそれが、なぜだか愛おしく思えた。
さっきは直視できなかったふっかさんの肌は触れるのを躊躇うくらい、すごく綺麗だった。
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作者名：微.
| 作成日時：2020年8月29日 12時
