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ab「、ッ！」
nb「、っ阿部ちゃん、！」
片手にスタンガンを忍ばせていることに気づかなくて、脇腹に当てられて気を失った阿部ちゃんをすんでのところで抱きとめた。
dt「翔太ぼさっとしてないで早くホテル行け、！」
nb「でも、」
涼太は俺が口籠ってる間に男を捻じ伏せて、どこかに電話をかけ始めた。
dt「終わったらすぐ行くから」
nb「、わかった」
ぐったりした阿部ちゃんを背負ってなんとかホテルまでたどり着いた。いくら細いといえど、結構きついな。
阿部ちゃんをそっとベッドに寝かせつつ俺も隣に腰かけてあがった息をととのえる。冷房をつけて、じんわり汗が滲む肌に触れると僅かに表情がやわらかくなった気がした。
正直、自分で相手を煽っておいて、めちゃくちゃこわかった。阿部ちゃんがスタンガンをあてられたのも、俺のせいだ。涼太がいなかったら2人まとめてやられてたな。たぶん。
部屋番号を伝えていたメッセージに既読がついて数分。ついた、と3文字が表示されたから扉を開けるとなんら変わりない涼太が部屋に入ってきて鍵を閉めた。
dt「阿部は？」
nb「いや、まだ」
dt「そう、」
部屋の中に戻ると阿部ちゃんがベッドの真ん中にぺたんと座り込んでいた。
nb「阿部ちゃん、起きたの？身体平気？」
ab「ん、…あのひとは、どうなったの？」
dt「警察に突き出したよ」
ab「そっか、、ありがとう、ふたりとも」
nb「さっきのやつって顔見知り？」
ab「うん、さっきの人は顔見知り。クイズ番組で何度か一緒になったことある人で、」
nb「まって、さっきの人はってどういうこと？…ねえ、ひとりじゃないの？」
ab「…俺が思うに、さっきの人はつけてくるのとあのプレゼントだけ。でも、写真と手紙、それから盗聴器は、…多分違う」
dt「なんで違うってわかるの？」
ab「俺1回もうやめてくださいって言ったことあるんだ、そしたらなんとなく話が噛み合わなくて。きっと心当たりないんだと思う」
nb「とぼけたフリしてるだけかもしれないじゃん。集団型ってのがあるんだよ」
dt「なんで詳しいの」
nb「や、俺集団型に襲われかけたことあるから」
ab「えっ、」
nb「ま、俺の場合相手は異性だから大丈夫だったけど。挟み撃ちされたから結構焦ったけどね、ふははっ」
そんな不安そうな顔しないでよ、阿部ちゃん。俺の過去なんて、気にしなくていいのに。
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作者名：微.
| 作成日時：2020年8月29日 12時
