［La neige］ⅳ (ページ35)

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(iw)

少し目を離した隙に翔太がいなくなった。楽屋に戻ってきてないと聞いてメンバーにも探してくれと頼んで連れ込まれそうな場所を探す。翔太を攫うやつなんて1人しかいない。休みなんてきっと嘘で、どこかに身を潜めてたんだ。

あとはここしかない、と奥にあるスタッフさんの部屋が密集するゾーンに踏み込んだ。当たり前に関係者以外立入禁止って書いてあるけど、そんなこと気にしてられない。

ドンドンドン、とどこから音がして驚きで思わず立ち止まる。
なに、今の音。こわいんだけど。

おそるおそる近づいて扉を開けると、音を出していたのは衣装を剥ぎ取られた翔太だった。

iw「、翔太！」

翔太の口を塞いでいた腕を振り払って翔太を抱きしめると、男は俺を睨みつけながら逃げていった。ほんとは追いかけて捕まえなきゃいけないんだろうけど、こんな姿の翔太を放って行くなんてむりだ。

髪を撫でるとそこは湿ってて、自分の指先を見ると汗と少し血が混じっていた。

iw「翔太、なにされた？」
nb「あたま、かべに、」
iw「ぶつけたの？」

頷いた翔太のそこを止血しながら衣装のジャケットを翔太に羽織らせて、舘さんに俺と翔太の私服を持ってきてもらうように連絡をいれた。舘さん以外動揺しまくりそうだし。

iw「ごめん翔太、離れるななんて偉そうなこと言っといて守れなくて、」
nb「いーよ、きてくれたじゃん」
iw「でも、」
nb「たすけてくれて、ありがと、」

抱きついてきた体をそっとつつみこむと、まだ震えてて。

iw「こわい思いさせてごめん、」
nb「ひかる謝りすぎ」
iw「だって、」
nb「だいじょぶだよ」

どこが大丈夫なんだよ、こんな、細い体で。

iw「翔太、」
nb「ん？」
iw「おそくなっちゃったけど…俺とつきあって」
nb「ふふ、…うん」

こんな格好で告白されたくなかったな、と、翔太がつぶやいた。

iw「今ここで言わないと、また翔太に言われちゃうもん」
nb「男同士なんだからそんなこと気にすんなよ」
iw「気にするの。かっこわりぃじゃん」
nb「でもさっきのひかる、かっこよかったよ」
iw「…ありがと、」

ずるいわ、いま言う？

nb「ねえひかる」
iw「なに？、ん、」
nb「ふふ、ちゅーして、」

涼太がくる前に、と翔太が微笑んだ。
俺はこの笑顔を守りたいって、心からそう思った。もっと、強くならなきゃ。

頬を挟んで唇をそっと食む。舘さんに、見られちゃうかな。まあ、今日くらいは、しょうがないか。

fin.