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kj「、…ぅう、」
あ、今日は喉枯れてないんや。
サイドテーブルに置かれた端末のバイブレータに起こされて、だれかの腕の中で手探りでそれを掴むとダテのやった。
kj「…、さっくん、」
〈電話しちゃってごめん！今日の夜ふたりでごはんどうかなって思ったんだけど、また誘うわ！(^^)〉
kj「…渡さんよ、だれにも」
俺のやもん。
通知を消して元の位置に戻してから目の前のぬくもりに身を寄せる。
俺、やなやつやな、ほんま。
さっくんがダテに特別な感情を抱いてるのは知っとった。でも、それはこの関係がはじまった後やった。
知らんかったら、ダテに縋りつくことなんてせんかったと思う。味わってしまったら、優しさに触れてしまったら、もう戻れへん。
だからだれにも渡さへん。ダテだけやなくて、ラウも、照兄も。
ru「…ん、こーじくん…？」
kj「起こしてもぉた、？ごめんな」
見上げると長い睫毛が僅かにはためかせたラウが寝ぼけて俺のウエストラインをなぞって。また疼いてしまいそうなのを気づかないふりして、体を縮こませた。
ru「どーしたの、」
kj「…ちょっと、やな夢みてん、」
ru「そっか、」
ごめんなさい。みんなを利用して、振り回して。ごめんなさい、こんな愚かな俺を、どうか赦して。
自分で招いたことなのに、たまに申し訳なさに覆われて、消えてしまいたくなる。
kj「らう、ちゅーして、」
そんな時は、与えられる甘さで掻き消してしまえばいい。そう自分に言い聞かせる。黒いもやもやも、不安も、ぜんぶ、全部。
ru「ふふ、おいで」
寝起き特有の掠れた声にきゅんとして、ラウの腕に頭をのせなおすと優しく頬を撫でられて、ゆったり唇が交わった。
なぁ、もっと、おれを愛して？
おれのいとおしい、三色のチューリップさん。
fin.
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作者名：微.
| 作成日時：2020年8月9日 21時
