［unconventional］ (ページ10)

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清々しい気分で学校を出て佐久間に電話をかけたら、なぜか待ち合わせに駅を指定された。
駅に着いて数分経ったところに、佐久間がひょこひょこ小走りで近づいてきて。

nb「昨日の今日じゃ足治るわけねーんだから走んなよ」
sk「だってはやく会いたくて、！」
nb「っ〜」

こいつ、昨日出会ったばっかの友達にこんなこと言うのかよ…
まぁ、チョロい俺も大概だけど。

nb「…で、どこ行くの？」
sk「ちょっと電車で移動しよう？俺たちの学校に通ってる人たちがいなさそうなところまで」

カラオケの入室した部屋はまさに二人用ってくらい小さくて。

sk「あの、話したいことがあって…」
nb「うん」

佐久間がドリンクバーで注いだ桃の微炭酸が、シュワシュワと音を立てる。

sk「今日登校して、翔太なんか言われたりした…？」
nb「“俺と佐久間が付き合ってるらしい”ってやつ？」
sk「っ！」

やっぱりあの女、言いふらしてやがった。

sk「俺のせいでごめんっ！」
nb「…佐久間はさ、否定したの？」

俺はむしろ認めたような返しをしちゃったから、もし佐久間が不本意だっていうなら…

sk「、どう答えようか悩んでたら肯定したように勘違いされちゃって…こんなの、言い訳だって翔太に思われても仕方ないんだけど、」
nb「だったらそれでいいんじゃない？」
sk「え…」

あーよかった。気紛らわすためにデンモクてきとーにいじってたけど、年間ランキングとかまったく内容入ってこなかったし。

nb「人の噂も七十五日っていうじゃん。中坊のガキが興味もつことなんて長続きしねーよ。言わせとけ」
sk「でもそれじゃ翔太に迷惑が、！」
nb「俺が気にしてねーんだからいいんだよ」
sk「っ…わかった…」

…気にしてないなんてうそ。既成事実つくってやろうかななんて、悪い自分が顔を出しかけてるくらいなんだから。

俺が先に入れることになって、一曲目だけどテンション上げるようなやつよりバラードの方が聞いてもらいたくて、よく歌うラブソングにした。

sk「翔太めっちゃ上手い！歌手になったらいいのに！」
nb「いや…俺レベルなんてそこらへんに五万といるって」
sk「そんなことないよ！俺がファン第一号になるから！」
nb「ん、さんきゅ。…佐久間も入れろよ」

元々憧れている職業ではあったけど、こんなに褒めてくれるなんて思ってもみなかったから。
正直、人生で一番嬉しかった。
本気で頑張ってみようかなって、そう思った。

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