[ラヴシック] ページ8
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nbsk
[ファーストラヴ]spin off
_non real
_お付き合いしてません
(nb)
クソ寒いのに家の炬燵は壊れるわ、マセた妹が好きな男子を家に連れ込むわ…
で、なんやかんや外で時間を潰さなきゃならなくなった、3月下旬のある日。
ふらっと入った公園はベンチがなくて、寝られるのはコンクリートの滑り台だけだった。
冷たいし硬いし、寝心地は最悪だけど時間が経てばウトウトしてきて。
あとちょっとのところで、どっかからすすり泣きみたいな声が聞こえてきた。
幽霊かもって一瞬まじでビビったけど、恐る恐る覗いたらブランコにちんちくりんが腰かけていた。
nb「大丈夫?」
「…ふぇ?」
nb「ブランコ座ってからずっと泣いてるから」
眠りを妨げられるといつもだったらキレるのに、なぜか怒りが湧くことはなかった。
nb「俺のお気に入りのグミやるから元気出せよ」
「、んむっ」
あそこで寝てた。と指差した滑り台と俺の顔を交互に見つめるちんちくりんは小動物みたいで、思わず餌付けするようにグミを与えていた。
「わたなべしょうたくん、ですよね…?」
nb「俺の名前知ってんの?」
「有名人、だから…」
nb「有名人?」
「うん、かっこいいって」
ギャーギャー騒がれるのなんてうるせぇだけだから、あんなのなんにも嬉しくない。
nb「ふーん。そんなことよりさ、名前おしえてよ」
sk「佐久間大介。隣の一中に通ってて、学年は同じ中1だよ」
隣の中学か。どおりで見たことある制服だと思った。
nb「佐久間はなんでさっき泣いてたの?」
sk「へ、」
佐久間は、話を聞いてやりたくなるような、かまいたくなるような…そんな独特な雰囲気を纏っていた。
最初は躊躇っていたものの、学校での人間関係がうまく築けなかったとか、足を捻挫したとか。
話し始めたら、落ち着いたはずの佐久間の涙がどんどん流れていった。
nb「佐久間、」
sk「ん?っ…」
無性に頭を撫でてやりたくなって。
nb「俺の学校のやついたから、ちょっとだけこうしてて。泣いてるとこ見られたくないっしょ」
sk「ぁ、ぁ…ありがとう…」
俺の学校のやつがいたのをいいわけに包み込んだ佐久間からは、仄かに甘い匂いがした。
nb「…俺が友達になってやる」
sk「ぇ…?」
nb「べつに同じ学校にいなくたってよくね?俺と遊ぼーぜ」
sk「!うん…っ!、ありがとう渡辺くん!」
佐久間の、華が咲いたみたいな笑顔を見た刹那。
あ、オチたわ…って思った。…俺が。
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作者名:微. | 作成日時:2023年7月29日 1時