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それからは、中学生のお小遣いなんてなけなしだから毎回は無理だけど、テスト勉強をしたり、息抜きに歌ったり…
店員さんに顔を覚えられるくらいカラオケに通って。
会員証のスタンプが増えていくたびに翔太と過ごした記録が目に見えて。
俺の14歳の誕生日に、スタンプが溜まって会員証が新しくなった。
祝ってほしいってねだってるみたいになりたくなかったから、翔太にはその日が誕生日とは言わなかったんだけど、まるで翔太から誕生日プレゼントをもらえたような気がして。
それがきっかけで、古い会員証は捨てられなくなった。
夏はわざわざ甚兵衛を買って地元の花火大会に行って。
秋は金木犀が咲く神社に翔太を連れてって、心の中で"いつか翔太と結ばれる日がきますように"ってお願いした。
冬は出会った公園に雪が積もったから、花壇に並べられるだけ雪だるまをつくった。
春は二人して花粉症で大変だったけど、翔太が桜を指差して"佐久間みたい"って。
その一言でつらいのなんて吹っ飛んじゃったんだ。
高校は一緒のところに行こうねって約束して、猛勉強した。
翔太の誕生日はLINEに登録されてたから、14歳には母ちゃんが使ってたちょっと高いクリームを買って渡して、15歳には翔太に似合いそうな青いマフラーを選んだ。
"俺だけもらうなんて不公平だからおまえの誕生日も教えろ！"って、翔太は迫ってきたけど…
こんなに一緒にいてくれたんだもん。それだけで十分幸せだから、"俺が何がほしいのか当ててくれたら教える！"って返した。
高校の合否発表日は、心臓の音が隣の翔太に聞こえちゃうんじゃないかってくらい緊張して。お互いの番号を見つけた瞬間、恥ずかしいけどめっちゃ泣いちゃって。
呆れたように頭を撫でてくれたけど、一瞬泣くの堪えてたの、見逃さなかったよ。
sk「翔太！卒業おめでとう！」
nb「佐久間も。卒業おめでとう」
いつものカラオケで、卒業のお祝い。
俺は着替えてきたけど、翔太はなぜか制服のままだった。
sk「てか翔太、モテるのによく何も取られなかったね！」
nb「…まぁな。」
翔太、なんか元気ない…？
sk「翔太疲れちゃった？別の日にでも、」
nb「…あのさ、俺、佐久間にずっと言えなかったことがある」
sk「、なぁに？」
俺に被せるようにした翔太の声は、心なしかいつもより強張っていて。
もしかして、俺の想いがようやく通じた、とか…？
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作者名：微.
| 作成日時：2023年7月29日 1時
