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ru「康二くん大丈夫？」
kj「、っ！」
顔を上げたら思ったよりも近くにラウがいて。
強く濃く馨った甘さに、どくんって激しく脈打った。
kj「ぁ…っ」
紅潮した頬も、かきあげられた前髪も、Tシャツから覗く湿った肌も。
汗をかいてるから匂いが強いんや。
ru「康二くん待って！どこいくのっ？」
引き止めようと俺の腕に触れそうになった手をかわしてリハ室を飛び出して、誰もいないトイレに辿り着いた。
kj「ぁは…ひっどいなぁ、」
鏡に映った俺は、目が血走ってて、さっくんに指摘された隈も相まって、アイドルとは思えへん顔やった。
戻って急にお腹痛くなったってなんとか誤魔化したけど、ラウにも他の7人にも、隠すのは時間の問題やな。
ru「康二くん、あとで話したいことあるんだけど」
kj「…俺も。」
もう正直に話して、…楽になりたかった。
帰りの車内では流した曲がうるさく感じるほど静寂に包まれて。普段は沈黙なんて耐えられへんけど、今は喋り倒す気分やなかったから。
kj「俺から話してもええかな？」
ru「うん、いいよ」
念のため後部座席に移動したらラウが怪訝な顔をしたけど、見えてへんふりをして。
kj「明日から他の人に送迎頼んでくれへん？ない間めっちゃ楽やったなぁって。やっぱり面倒やし疲れるんよね」
嫌われそうな言葉を並べて、声色も変えて。
望んでるくせに嫌われたらほんまはめちゃくちゃきついけど…
ru「…ほんとにそれだけ？」
kj「おん。こんな奴に話すことなんかないやろ？はよ帰りたいからさっさと車降りて」
ru「あるよ。俺は康二くんみたいに嘘はつかない。」
kj「っ、」
なんで騙されてくれへんの、ラウ。
ru「俺は、何言われても康二くんが好き」
え、なに急に…どういう意味…？
ru「嫌なら守ってくれなくたっていいよ。でも康二くんが俺を好きになってくれるまで諦めないから。」
kj「…は？」
なんなん、…嘘ついてんのはラウやろ…
kj「笑えへん冗談も大概にせぇよ！引き摺り下ろすで？」
ru「冗談じゃないし。やってみてよ。ほら」
しまった、と思っても遅かった。
嫌な奴になろうとしすぎて自分からラウの手掴んじゃうなんて、やっぱアホやな、俺…
ru「ねぇ、引き摺り下ろすんでしょ？」
さっさと放せばよかったのに、…ラウが握り直したせいで、びくともしやん。
kj「…はなせよ…、」
ru「やだ。」
もう、どうすればいいのかわからへん、
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作者名：微.
| 作成日時：2023年7月29日 1時
