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ru「ふふ、やっぱり康二くんも食べたいんでしょ。ひとくち食べる？」
kj「、〜っ！」
冷たい銀が噛み締めた唇をつついて。導かれるように開いたら、ラウの口内へ消えていってしまった。
あとちょっとやったのに。
そう芽生えた自分の感情が恐ろしくて、断ち切りたくて。
洗い物するわ。って、キッチンに逃げ込む。
アイスを完食したラウが容器を水洗いして、そのまま俺の隣で泡まみれの食器を濯いでいった。
ru「ぁ、」
ラウの声に手元へやっていた視線を移したら、小さな線から朱が滲んでて。
ru「っん、」
…それが、とてつもなく、……
ru「、康二くん、？あの、」
俺いま、………何した、？
kj「っ！、ごめん、俺、…帰るわ、」
ru「え？」
ラウの戸惑った声が頭上から落とされてもかまってられなくて、上着と鞄を引っ掴む。
kj「ごめん、ごめんなラウ…っ」
靴も碌に履けてへんまま飛び出したから足が縺れてすっ転んだけど、痛みを感じる余裕もなかった。
kj「、っう、、ぅぁあ…！」
……ご馳走や、って思った、
俺の体は、ラウの血を、…そう捉えたんや。
甘い甘い、チョコレートみたいな味がして、
…俺、フォークになっちゃったんや…
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『フォークの殆どは後天性で味覚を失い、本能的に“ケーキを食べたい”という欲求に駆られます』
ラウと説明を受けた先生の言葉が、ずっと頭の中で反復して。
目を閉じれば、瞼の裏に焼きついたままのラウの顔が浮かんで。
そうやって、ほぼ一睡もできひん日が続いた。
いきなり指舐められたらキモいに決まってるやん。
あんな、…ケダモノみたいな奴と同類になってしもたんやな、俺。
そんでラウを守るって…どの口が言うてんねん。
sk「こぉじ隈すごいよ！寝てないの？」
kj「ショートスリーパーのさっくんに言われたないわ、大丈夫やって」
味しやんのに飯食ったってしゃあないし。そもそもあんまり食欲湧いてこんから不思議やな。
けど、それが一気に支障を来たした。
新曲の振り入れで思うように体が動かんし、息がもたへん。
fk「つかれた〜ちょっと休憩しよ」
iw「…そうだな」
ほんとは疲れてないふっかさんにバレて、それを察知した照兄によって休憩時間になった。
口の端から零れた水がTシャツに吸い込まれていって、異常なほど補給したはずやのにまったく改善されなくて。このままじゃまずいのは俺が一番わかってるんやけど。
そんなの、どうにもできひんし。
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作者名：微.
| 作成日時：2023年7月29日 1時
