_________ ページ25
.
ru「ん！ん〜〜っおいしい〜！」
甘さはひかえめなんだけど、日本じゃ味わえない特別感がある。
ru「あっ！」
溶けてきたアイスが手に落ちて、それを舐め取ったら康二くんの熱視線を感じた。
ru「ふふ、やっぱり康二くんも食べたいんでしょ。ひとくち食べる？」
kj「、〜っ！」
ひとくちあげる、ふりしてスプーンを近づけて、康二くんが口を開けたところで自分で食べた。
kj「ラウいじわるや！」
拗ねた顔かわいいからつい揶揄いたくなっちゃうんだよね。
康二くんはソワソワしたかと思えば何もすることないから洗い物するって言うから、急いで残りのアイスを流し込んだ。
いつもは調理に使った器具も洗ってから食べるんだけど、康二くんを待たせたくなかったから全部やりっぱなしなんだよね。
康二くんが洗って、俺が濯ぐ。単純な作業だけどふたりでやると楽しい。
ru「ぁ、」
ちゃんと手元を見てなくて包丁の刃で指の腹が切れた。
ぷくっと血が滲んで刺すような痛みを感じたら、横から手が伸びてきて。
ru「っん、」
康二くんの口内に消えていったそれはなかなか解放されなくて、漫画みたいなシチュエーションに顔が火照っていく。
康二くんの舌も熱くて、ぞわぞわする…
ru「、康二くん、？あの、」
kj「っ！、ごめん、俺、…帰るわ、」
ru「え？」
kj「ごめん、ごめんなラウ…っ」
俺、変な顔してたのかな…？
怒ってなんかないのに、はっとしたように俺を見た康二くんはなぜかしきりに謝って。
まだ途中なのに、引き止める間もなく足早に帰っちゃった。
もっと一緒に居られると思ってたのに。
ひとりで黙々とこなす洗い物も途端につまらなくなって。
切れた傷口が水に沁みて。
さっきよりも、ずっと痛かった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 663人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：微.
| 作成日時：2023年7月29日 1時
