［セカンドラヴ］ ページ16
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nbsk
［ファーストラヴ］sequel
_non real
_お付き合いしてません
(sk)
渡辺翔太。
俺にとってその人は、王子様とかヒーローとか…
いつもきらきらしていて眩しい、そんな存在だった。
15年前…___
翔太は、俺のそばからいなくなってしまった。
まだ子供だった俺は、面と向かって行ってらっしゃいと送り出す勇気はなくて。
朝から晩まで飛行機が見える近所の高台にいたら、翌日風邪を引いた。
熱で魘されてる間、ずっと翔太の名前を呼んでいたって。看病してくれた母ちゃんが言っていた。
高校の入学式までには体調は快復したけど…いるはずの翔太がいない生活は、中学よりもつらくて。正直、ほとんど記憶がない。
高校を卒業してからは、専門学校に進学した。
翔太が、“声優とか向いてそう”って、言ってくれたから。
ハタチの誕生日。黄ばみがかってきたカラオケの会員証を傍に置いて、はじめてのお酒を飲んだ。
でも、苦くて全然美味しくなかった。
翔太の誕生日まで待って一緒に乾杯できてたら、もっと美味しく感じたのかな？俺たち大人になったねって、笑い合えてたのかな？
成人式のあと、中学の同級生に強制連行されて、翔太のことで質問攻めにされた。
“今日見かけなかったけど、今どこで何してるの？”
“まだ付き合ってるの？”
…そんなの、俺が一番聞きたかった。
元気かな？
今も頑張ってるのかな？
翔太のこと考えない日なんて、なかったよ。
専門学校を卒業して、晴れて俺も事務所に所属することができた頃。
SNSで、翔太が紹介されている記事を見つけた。
韓国の事務所に籍を置く話題の日本人ソロシンガーって。
本当に夢を叶えたんだなって実感したら、涙が止まらなかった。
しかも、そりゃ話題になるよってくらい、さらにめちゃくちゃかっこよくなってて。
もしこれから有名になったらそれはそれで嬉しいんだけど…翔太を好きになる人が増えたらどうしようって、もやもやした。
翔太の公式のSNSアカウントが開設されてからはすべてフォローして、通知もくるようにして…
どんな些細なことでも逃したくなくて、ちょっとしか書かれてないネットニュースでもスクリーンショットして、それをプリントアウトしてファイリングした。
必死だって引かれちゃうかもしれないけど…
ファン第一号だって胸を張れるように、できることは全部やった。
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作者名：微.
| 作成日時：2023年7月29日 1時
