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sk「翔太！卒業おめでとう！」
nb「佐久間も。卒業おめでとう」
制服を死守したくて沸き立つ後輩から逃げ回っていたら、大分待ち合わせの時間から遅れてしまって。
なのに佐久間は、"気にしてないよ"って言ってきた言葉の通り、笑顔で待っててくれた。
sk「てか翔太、モテるのによく何も取られなかったね！」
nb「…まぁな。」
俺が第二ボタンを渡そうとしてるなんて、微塵も思ってないんだろうな。
sk「翔太疲れちゃった？別の日にでも、」
nb「…あのさ、俺、佐久間にずっと言えなかったことがある」
sk「、なぁに？」
ごめん佐久間。"別の日"はないんだ。
sk「も〜どうしたの？佐久間さんなんでも聞くよ！」
佐久間は絶対泣くだろうと思ったら、結局今日まで言い出せなかった。
nb「…高校、一緒に通えなくなった」
sk「…ん？朝の登校ってこと？」
nb「合格辞退したんだ」
sk「ぇ……なんで…？」
nb「明日から韓国に行くことになった」
胸に挿した花のブローチをいじっていた佐久間の指が、動きを止めた。
nb「実はさ、一年前から事務所に所属して歌の練習してたんだけど、韓国で武者修行できるチャンスがあるって声かけてもらって。オーディション受かって行けることになったの。携帯使用不可だから、…連絡は暫くできなくなる」
佐久間の反応を見るのがこわくて、つい早口になる。
nb「約束破る形になって、ほんとごめん。だけど俺、佐久間のおかげで決心できたんだ。はじめてここに来た日、“歌手になったらいいのに”って、“俺がファン第一号になるから”って、そう言ってくれたから…本気で歌手目指そうって思った。」
何よりこれが、一番佐久間に伝えたかったこと。
俺が佐久間を好きな気持ちは、…きっと、佐久間にとっては邪魔になる。
だからこそ、せめて第二ボタンだけでも渡したかった。
nb「さく、」
sk「っやだ！今は翔太の顔、見たくない…！」
nb「っ！」
nb「守ってくれないなら…最初から約束なんてしないでよ！！」
顔を見たくないって言われて、傷つく資格なんてないのに…胸が張り裂けそうになった。
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作者名：微.
| 作成日時：2023年7月29日 1時
