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なぜか俺にウサギを抱っこさせてくるから、多分すっごいアホ面になった。
sk「翔太にあげるために取ったんだもん」
nb「なんで…？」
sk「"これかわいいじゃん"って翔太が言ってたから！」
だってそれは、佐久間が抱えたら似合いそうだなってなんとなく思っただけで…
じゃあ、俺のためにあんな必死にやってたっつーのかよ…っ
sk「翔太…？」
nb「、いてぇ…」
sk「えっ！？どこが！？大丈夫！？」
わたわたしだした佐久間に背を向けて、胸を押さえる。
今にも気持ちがあふれだしそうで、くるしい。
でもまだだめだ、まだ…
sk「翔太ケータイ鳴ってる！」
nb「、ぁー…これありがと。…あそこでちょっと待ってて」
sk「わかった！」
ぬいぐるみの礼を伝えて、佐久間の頭を撫でてから一人掛けのソファーに座るように促した。
このタイミングで事務所から電話かかってくるとか、…今じゃねーだろ。
ひとつ深呼吸してから出たら、結果は合格で。
早めに高校の合格辞退の手続きをするように、念押しされた。
言われなくたってわかってんだよ。そんなこと…
nb「お待たせ」
sk「んーん全然！お腹すいたからなんか食べたいな〜」
佐久間に勘付かれないように手短に終わらせて、フードコートへ足を進めた。
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sk「、んぅ…」
海鮮丼と、欲張ってクレープも平らげた佐久間は、帰りの電車ですぐ眠りについて。
首がかくかくして隣の乗客に傾きそうになったのをこちらに引き寄せると、小さな頭が右肩にのせられる。
次がマンモス駅だったおかげで人がぞろぞろ降りていって、車両には俺たちだけになった。
足元にやっていたウサギを左隣に座らせると、窓ガラスに映った姿がシュールで笑える。
夕陽が沈んでいくのをぼーっと見つめていたら、センチメンタルになって鼻がツンとした。
春からは佐久間と一緒にいられなくなった今、あとどれくらい一緒にいられるんだろう。
離れるまでに、俺は佐久間に何をしてやれる…？
nb「佐久間…」
小さく呼んでみたけど、佐久間が起きる気配はない。
寝てるなら、伝えてもいいよな、？
nb「好きだよ佐久間、…っ」
頬に涙が伝ったのを気づかないふりをして、俺はそっと佐久間に影を重ねた。
それはあったかくて、やわらかかった。
佐久間は知らない、俺とウサギだけのひみつ。
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作者名：微.
| 作成日時：2023年7月29日 1時
