［unconventional］ (ページ12)

今日:69 hit、昨日:74 hit、合計:94,310 hit

_________ ページ12

.

俺の15歳の誕生日。佐久間は青いマフラーをくれた。
家でこっそり調べたら、“あなたに首ったけ”って意味があるらしい。
佐久間がこの意味をわかっててくれたのかはわからないけど…知ってたらいいのに、って柄にもなく空に願った。

佐久間は俺が何回聞いても誕生日を教えてくれなくて。
"俺が何がほしいのか当ててくれたら教える！"って、その一点張りだった。
思いつくだけ候補をあげてみたけど、ぜんぶはずれて。
結局なんなのか、わからないままだ。

冬休み初日の年末。事務所で韓国への武者修行の一次オーディションが行われた。
なんとか最終の第三次まで進むことができて。結果がわかるのは高校の合否発表日の翌々日だった。

高校の合否発表日は、ふたりとも無事合格したことを知った途端、佐久間がすげー泣きはじめて。
出会った頃とくらべたらやっぱり幼さは薄れたけど、佐久間は泣くほど嬉しいんだって思ったら、なんか…心にくるものがあって。つられて俺も涙が出そうになった。

脱落したらそのまま高校に通いながら事務所でレッスンを続けて。
合格したら今の高校は辞退して、現地に着いたら韓国の高校の特別入学試験の受験をすること。
事務所に高校の合格を報告したら、そう通達された。

辞退の二文字が重くのしかかって。
一瞬。ほんとに一瞬、逃げだしたくなった。

だけど、そんな甘ったれたことしてられないし、逃げ場もない。
だから、結果がわかるまでは考えることをやめた。

.

結果発表日は、佐久間と電車を乗り継いで大きめのショッピングモールまで買い物に来ていた。

佐久間がゲーセンのUFOキャッチャーに夢中になってる間、トイレに行くと伝えて通りすがりに気になったアクセサリーショップに入る。

nb「あの、すみません…これください、」
『かしこまりました。ラッピングはどうなさいますか？』
nb「…じゃぁ、こっちのやつで…」
『ありがとうございます。少々お待ちください。』

貯めた小遣いで足りるかひやひやしたけど、買えてよかった。
あとは、いつどうやって佐久間に渡すかなんだよなぁ…

sk「トイレ長かったね、お腹痛い？」
nb「もう治ったから平気。んなことよりほしいもん取れたの？」
sk「…ふふっ、ほらみて！じゃ～ん！」

佐久間が俺の目の高さまで持ち上げたのは、でけぇピンクのウサギのぬいぐるみ。
抱き枕？ってくらいのサイズ。

nb「おぉすげー！よかったな」
sk「うん！はい！」
nb「、はぇ？」

.