- baby gone-

42 ページ46

.



後夜祭終わりに、片付けをしている学級委員たちの中から彼を探す。



「おお優斗、残念」


俺は呼ばれなかった。



「物理クラスなんて人数少なすぎて希望したやつ全員参加できるって聞いたことあるんだけど。くじ引きじゃなくてヤラセか？」



校庭の端に移動してこっそり話を続ける。


「俺は希望してなかったんだけどな、誰か勝手に入れたのかな」


「その割にはよく言えたもんだな」

「いつか言うつもりだったからさ。それに、ここで結ばれた2人は永遠って言うじゃん」

「婚約率91%だっけ」

「そのあと離婚してるかもだけど」

「…お前絶対文系向いてないな」

「なんでだよ、意味わかんねえ」

「…屋上行かね？」

「見つかったらどうすんだよ」

「今日くらいは、いいだろ」

「ダメだろ」


はしもっちゃんの足が階段の方に向いた。

2人で歩いていって、初めての場所で9月終わりの風を感じる。

見晴らしはそこそこ良い。




「あーあ、叫びたかったな」


「ここで叫んじゃえ」


「…A」


一般生徒はほぼ帰っている。

学級委員や生徒会の一部の生徒しか片付けはないし、片付けも終わったみたいだ。



なんだか、泣いてしまいそう。



.





好きだった

大好きだった


よく覚えてないけど気づいたら隣にいた

俺は本気で スーパーヒーローになりたくて

初めてそれを 受け入れてくれた


誰にでも優しくて 少し小悪魔なところ

知れば知るほど好きになって

でも 君に恋人ができてしまった

ショックだったし嫌だけど

でも 気づいた

君に執着するのは止めるべきだって



君を諦めたら

好きだった時間だとか 過ごした時間だとか

全部無駄になるように思ってたけど

そうじゃないね


幼なじみとして身近に感じすぎてたけど

そんな俺だけど

これからもよろしく



君の本物のスーパーヒーローに

幸せにしてもらってください



.

43→←41

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す