- baby gone-

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「作間龍斗くんが直してくれました」



はしもっちゃんが手招きをすると、ヤツがゆっくりと滑って出てきた。



「ローラーうまくね？もしかして俺たちと滑ってたんじゃない？結構衣装も似てるし！」


猪狩くんの勢いに作間が圧倒されている。






「5人でもう一曲やりたいっす！司会者さん！なんか流して！作間くんも知ってる歌で！校歌とか！」


「え、いや」


「ワンチャンいけるっしょ」





はしもっちゃんがその気になれば、井上くんだって乗り気になる。




どうにでもなれ。


「校歌で即興しよ」


放送委員の悪ノリで流れるイントロ、同じノリで歌い出す客席の生徒。





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文化祭最終日、終了。


後夜祭が始まる前、はしもっちゃんと教室で作戦を立て直していた。




「昨日の中夜祭でかっこいいところ見せてAに想い伝えるんだって言ってたじゃん」


「だって彼氏いるわけだし…しかもその彼氏が即興でローラーのバク転披露って…」



作間においしいところを取られ、結局は猪狩くんが実力で評価されて、そこそこ俺の出番はなし。




それでもいいんだ。





後夜祭が始まったらしく、校庭からの熱気がこちらまで伝わってくる。





なんとなく窓から眺めていたけれど、内容なんて入ってこなかった。



ラストの「告白大会」で、出席番号で当たった人は何かしら告白しなければならないから。



"実は、未だにピーマンが嫌いです！"


くだらないものから愛の告白まであるこの時間が来てしまった。

絶対に当たる気がしていた。
当たる確信があったから、昨日で魅せて今日告白するというプランを立てていたのに。



「橋本涼さーん！」



「お、れ？」





スポットライトがはしもっちゃんに当たって、完全に困惑しているようだ。



静かになる学校に、はしもっちゃんの深呼吸。

緊張感が高まる。




「…好きだ！太田友理奈！俺と付き合ってください！」




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