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20__年9月23日
文化祭の日だった。
うちのクラスは化学を利用したアイスクリーム屋を運営していた。
理系クラス特有の楽しみ方だと思うけれど、他のクラスより予算はギリギリだ。
そのせいで学活時にマイナスな方向に流れた時 ときも「やってみようよ!」と全体の背中を押したのは、やはり彼女だったのだ。
「A、さん」
「作間くん?」
名前で呼んでいいよと許可はもらった。
だけど、呼び捨てだとか、ちゃん付けをする勇気がなくて、結果ますます気持ち悪くなっているのは自覚している。
休憩中の彼女は、ピンクのユニフォームを着たまま一人でいちごシャーベットを頬張っていた。
「何食べてるの」
「熱伝導コーナーでミスが出たいちごアイス」
「一口ちょーだい」
彼女の隣に座って口を半開きにした。
きっと断られる、それで俺は笑いながらスプーンを受け取るんだ、そう思っていたのに。
「作間くん、甘えたさんだね?」
下を向いて照れた後に、丁度良い量をスプーンに乗せて俺の口まで運んでくれる。
至近距離で顔を見たのは初めてだった。
おでこにはできかけのニキビがあって、それでも頬は十分綺麗で程よく紅い、リップが少し取れたぷるぷるの唇、綺麗な鎖骨まで全部見えてしまった。
興奮しないわけがない。
「美味しい?」
俺は準備期間に試作すら食べていなかったから、気にしてくれているのだろうか。
「…美味しい」
俺がそう言えばニコニコと笑う。
ねぇ。
僕は君に"悪いこと"がしたい。
身体の芯が疼いて、もう我慢の限界だ。
「可愛い、…」
もう少しだけ顔を接近させたら、唇と唇がついてしまった。
もう戻れない。
だけど、抑えられない。
それはきっと君だから、君のことになると理性も狂ってしまう自分がいるから。
柔らかな唇。
細目で君を見ると、潤んだ瞳で俺を受け入れているんだ。
調子に乗って唇を舌でなぞると、さすがに少し困惑したのか口を開く。
その隙間に自分の舌をねじ込んだ。
「んっ…、ふぅ、」
抵抗をするどころか、一生懸命に舌を絡ませてくる。
俺は片手で彼女の頭を掴んだ。
彼女は探りながら俺の腰に手を這わす。
少し苦しいかと思って口を離すと、一瞬銀色の糸を引いて、すぐに切れた。
あぁ、ダメだ。
君は永遠に届かない存在のはずだったのに。
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きき(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白い作品でした。またの執筆も楽しみにしています。素敵なお話をありがとうございます。 (2018年10月8日 2時) (レス) id: eb92b527a6 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 完結おめでとうございます!ありがとうございます!感動して泣きそうになりました!お疲れ様でした! (2018年10月6日 9時) (レス) id: a070df98c4 (このIDを非表示/違反報告)
プチラメ(プロフ) - 芽衣さん» はじめまして、コメントありがとうございます。恐縮です…終盤仕上げておりますので更新お待ちください〜!! (2018年9月29日 1時) (レス) id: 4bd9b9ee69 (このIDを非表示/違反報告)
プチラメ(プロフ) - ささやんさん» コメントありがとうございます!私も書きながらワクワクしてまして…そう言っていただけて嬉しいです。頑張ります☆〜(ゝ。∂) (2018年9月29日 1時) (レス) id: 4bd9b9ee69 (このIDを非表示/違反報告)
芽衣(プロフ) - はじめまして。今読んでいる作品の中で一番すきです。更新楽しみにしています。 (2018年9月28日 1時) (レス) id: 7fcf2589ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:プチラメ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Petit_lame
作成日時:2018年8月6日 2時