04 その傷はなんの傷(エース) ページ4
深夜。グランドラインのど真ん中でも夜の海は波の音だけを残して静かだ。
何人か船員が酒を飲む声が聞こえる。
本来なら俺は寝てるはずの時間だが、今日に限って目が覚めた。
俺も酒飲みに行こうかな。
でも今日飲んでるヤツらビスタの連中だから…変に気取ったワインとかだろうし…。
ぼーっと船の手すりに身体を預けて空を見てれば、Aの部屋の方で物音がする。
「…Aも起きてんのかな？」
それなら一緒に酒でも飲めるかもしれねぇ。
親父の部屋をすぎ、Aの部屋の前までやってくる。
ノックをするが応答がない。
「あれ？やっぱり寝てんのか？」
ドアノブに手をかけた時、違和感が生まれる。
ベッタリと右手についた液体。
「うわ！なんだこりゃ！？」
雲から月が顔を出し、月明かりが手元を赤く照らした。
薄らとだが、これが赤色なのがわかる。
「…血？」
頭の中で血の気が下がる音がした。
急いで部屋へ入れば、揺れるランプの明かりに照らされるAの姿があった。
部屋の隅で丸まっている。
「おい！？どうしたA！！」
俺の声にビクリと肩を揺らし、ゆっくりと顔を上げる。顔にも血が飛び散ってるようだ。
「…っ！大丈夫か！？何があった」
「っや、やだ、やだやたやだやだ…」
「おい、どうしたんだよ？！」
俺が1歩前を歩けば、泣き叫ぶA。
こんなAを見たのは初めてだった。
「おい！？どうしたよい！？」
「ぁ、マルコ！！Aがケガして「マルコｫ…」
俺の言葉を遮る様にAはマルコの元へ泣きながら走って行った。
なんで？
「またやったのかよい…だから今晩寝る時は部屋に来いってゆったのに…」
「怖い、怖いの…怖いよ…マルコマルコマルコ…っ」
「とりあえず、救護室だ」
俺を取り残し、マルコはAを抱き抱え部屋から出て行った。
“また”ってなんだよ。
Aは…俺の隊なんだぞ？
それにマルコ、お前の部屋ここから離れてんだろ。
なんでそんが早くたどり着けたんだよ。
胸の奥が苦しい。
Aの傷も心配だ。
でも、今は…
俺の胸が痛い。
続く (更新停止中)
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作者名：dokuro | 作成日時：2017年10月31日 5時
