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8部屋 ページ8

なんとかギリギリの所で診察に間に合った千歳はまた寄り道をしながらふらふらと帰路に着いた。
明日は中学に顔を出して制服やら何やらを受け取る予定になっている。
交通の便はいまいちわからないが決して不便というわけではなさそうだ。

せっかくの春休みなのだから、有名な観光スポットに足を運んでみるのもいい刺激かもしれない。

バグの直らない地図アプリを眺めながら千歳はそんなことを考えた。
同居人は今日も帰りは遅くなるのだろうと勝手に判断し、アパート近くのコンビニに寄り、お弁当を物色する。特に悩む時間もなく、適当に2つ手に取った。
あの家には炊飯器はないが電子レンジはあった気がする。

会計を済ませ、ゆったりとした坂道を歩いていく。
案の定アパートに明かりはついておらず、千歳は自分で部屋の鍵を開ける。
九州では必ず家に誰かが居るのが普通だったから、自分の想像とは異なる同居生活に少し残念に思ったのも事実。とはいえ郷に入っては郷に従え、ここでの生活にも慣れてしまう方が早いだろう。

部屋の明かりをつけ、部屋の隅で温めてもらった弁当を食べる。
温めてもらったのに勿体ないと思うがもうひとつの弁当は小さな冷蔵庫に仕舞う。

自分の咀嚼音だけが響く部屋の中で心細さを感じていると、勢いよく玄関の扉が開いた

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作者名:あやめ | 作成日時:2019年1月6日 1時

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