13部屋 ページ13
「風呂上がった_____ん、寝とる?」
まだ水分を多く含んだ髪をがしがしとバスタオルで拭きながら戻ると、Aは2つ並べた布団に跨る位置で丸まって横になっていた。
そっと寝かせておくのもいいかと思ったが、この位置だと自分も眠れない。そう思った千歳は、罪悪感を覚えながらAの肩を小さく揺らした。
「ほ〜ら、起きなっせ」
そんままやと俺が寝れんばい、と苦笑いを浮かべながら返事の代わりにうう、と呻いたAの体を起こしてやる。
キリッとして強かな印象を与える顔つきも眠気に負けた様子は幼さを強調させ、テキパキとよく動く体は受け止めてみれば華奢な方であることは明らかであった。
これ以上はよくない。
千歳は反射的にそう思い、ふいと顔を背けると同時にAの意識は戻ってきたようで、千歳の気なんて知らないまま「え、私そんな寝てた!?」などとぬかすのであった。
気にしなくていい。そう言おうと口を開こうとしたその時、タオル越しにAの手が触れるのがわかった。
千歳が口を挟む間もなくわしゃわしゃと髪を拭く手付きに呆然としていると、「びしょびしょのまま寝たら風邪ひくやろ?」といつもの調子のAが笑った。
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作者名:あやめ | 作成日時:2019年1月6日 1時