【四天宝寺】魔法使いの飴玉 (ページ9)

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「姉ちゃんもテニスやるんか？」と首をかしげて尋ねる1年生を横目にAはバインダーを抱えながら首を振る。

「私はただの手伝い、本業は演劇部の方やねん」

はい、とバインダーに挟んでいた新入生歓迎公演のチラシを手渡す。赤毛の少年はじっとチラシを見つめるも、どこか難しそうな顔をしていた。

遠くで1年集合の声が掛かる。Aは金太郎の手からチラシを取りあげ、呼ばれてるで、と背中を押す。金太郎は先程の笑顔を浮かべ、おおきに！と走っていった。

「話題の問題児と何話してたん？」

金太郎の背中をぼんやり見つめていると、背後から声をかけられた。振り返ってみれば四天宝寺名物とも言えるラブルスコンビが興味深そうにAに視線を送っていた。

「何って何も喋ってないなぁ、新歓来てな～みたいな話」
「ほんまに宣伝にぬかりないなぁ」
「せやけどあの子、もううちに入部届け出してる子やろ？」
「ああ、そうなん…」

Aは金太郎から取り上げたチラシを今度は一氏ユウジに押し付ける。横からチラシを覗き込みながら、金色小春は勧誘失敗を淡々と告げる。

「これって他学年でも行けるんやんな？」
「Aちゃんの晴れ姿バッチシ押さえに行くしな～」
「あかん…身内しか来おへん気がしてきた……」