【四天宝寺】魔法使いの飴玉 (ページ2)

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「新歓の舞台終わるまでこっちには顔出さんくてええしな？」
「え？めっちゃ行く気やったけど」

水道まで着いてくる白石の気遣いを一言で跳ね返し、オマケに今日は寄って帰るわ、と付け加える。

「はぁ？そんな顔色めっちゃ悪い奴に来られても困るわ」
「倒れはせんし大丈夫やろ知らんけど」

Aの謎の責任感に再び溜息をつきながら頭をガシガシと掻く。そういえば、この女は小さい頃からこういう奴だった。張り切って張り切って、全て終わると堰が切れたように熱をだす。
その度に「しんどい～～」だとか「しぬ、これは死ぬわ」等と言いまくるので面倒くさい。

「新歓シーズンが終わったらまーた熱出すんやろうな」
「別に熱出しても蔵に迷惑かけへんやん」
「アホほど連絡よこして来んのにどの口が言うてんねん」

流水に青や紺、紫色の絵の具が混じり、そこだけ夜空のような色になる。流れていく絵の具を見つめながら「蔵は新歓見に来てくれるん？」と尋ねる。

「当たり前やろ、行けるヤツ全員連れてったるわ」
「うわー頼もし」

徐々に絵の具の色が薄れ、透明の水がパレットを流していく。
2人の頭の上で、昼休みの終わりを予告する予鈴が鳴り響いたが、廊下はまだ賑やかだった。