【完】ふりむいてパープル【d!】【shp】

う ページ10

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結局チケットを貰ってくれる相手が見つからないまま、木曜日。情報室には今日もショッピくんが先に到着していた。


『……ねえ、あのー……ショッピくんさ』
「なに？」


隣の椅子に腰かけようとするわたしと、既に座っているショッピくん。必然的にショッピくんは上目遣いになってて、さすがイケメン、ギュンッと心臓を掴まれたのがわかる。ま、待って、いやイケメンなのは知ってたけど、でも、あれ？こんなにキラキラしてたっけ。


『えっと……』
「？」


水族館が好きか、日曜日空いてるか、たったふたつ聞くだけなのに何故かめちゃくちゃ緊張した。まごついている間に情報室を利用する生徒がぱらぱらと来だして、水族館に誘える雰囲気ではなくなってしまう。こんなに緊張するのはきっとチーノのせいだ。チーノがなんか、ショッピくんと仲良い女子がわたしだけみたいな、ショッピくんが水族館すきだからデートしてこいみたいな、なんかそんなこと言うから。……デートとは言われてないかもしれないけど。


『？』


とんとん、と机を指で叩く音につられてそちらを見れば、ルーズリーフの端っこに「さっきの何やった？」の文字。まだちょっと心の準備が足りなくて、その下に『あとで言う』と付け足してから、ルーズリーフの上の方に犬の絵を描いた。あとで言う、うん、あとで、絶対、普通に誘うだけだし、心の準備さえできれば、うん、……うん。しばらくそれを真顔で眺めていたショッピくんが、わたしの犬の横にコアラを描く。ねえそれ猫じゃなくて犬なんだけど。なんて思いながらも諦めて猫ということにして、コアラの横にラクダを描いた。ら、ショッピくんがめちゃくちゃ難しい顔をする。まるで数学のテストのときのわたしみたいだな、なんて思いながら、その端正な横顔を眺めていた。鼻先つんとしてて羨ましいな。


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