【完】ふりむいてパープル【d!】【shp】

春 ページ23

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「……あんたでもコネシマさんイケメンやとか思うんやな。そういうの興味ないんかと思ってた」
『え？なんで？普通に眼福じゃん。コネシマ先輩は陽のイケメンで、ショッピくんは陰のイケメンって感じだよね』
「はっ？」


でも素直すぎるのもコミュ力高すぎるのもよくないと思う。突然の言葉に思わず出た驚嘆の声を誤魔化す術は俺にはなくて、赤い顔を隠すように足早に去った俺を、Aはどう思ったんやろうか。





「Aって数学の授業ほんまに受けてんの？」
「え、A？なんで？」
「この前の委員のときとか教えてって言われて見ててんけど、まじで壊滅的やったから寝てるんかなと思って。チーノ隣の席なんやろ？」
「……ほぉーん？」


たまに食堂でちゃんと昼飯を食ってるとほぼ100パーセントの確率で絡んでくるチーノに、そういえば隣の席や言うてたなと思って聞いてみたら、めちゃくちゃ意味深そうなうざい顔をされたからだるすぎて無視を決め込む。なんやねん、別にちょっと気になっただけやんけ。それ以降は何も言わんかったけど、チーノがAにめんどくさいこと言ってへんかったらええな、なんでちょっと考えながら迎えた木曜日、なぜか俺はAに水族館に誘われた。


『……よかったらなんだけど、いや、別にもちろん断ってくれてもいいんだけど、水族館とか行かない？』


友達とかチーノも誘ってみたけどダメやったとか、別に無理なら大丈夫とか、色々照れくさそうに目を合わせないAを、ちょっと可愛いなと思ってしまって我慢できずに吹き出した。


「そんな気使わんでも。俺でよかったら行くで、水族館好きやし」


その言葉が、俺がわりと勇気を出してのものやったって、たぶんAは知らんと思うけど。どうやら俺はそこそこ浮き足立ってたようで、そういえばあいつの連絡先知らんな、と気づいたのはその日の夜、ベッドの中でスマホを弄ってるときやった。次の日の昼休み、メロンパンふたつとココアを抱えたAと連絡先を交換して別れてから、いつもは買わないココアを手に取ったのはまあ、Aのことを意識してないって言ったら嘘になる。


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