【完】ふりむいてパープル【d!】【shp】

ス ページ13

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「日曜、水族館行くにしても連絡先知らんなと思って」
『え、確かにそうじゃん』


あわててわたしもメロンパンたちを小脇に抱えてスマホを取り出す。メッセージアプリに新しく登録されたショッピくんのアイコンは猫だった。可愛いな、ちくしょう。


「時間とかまた連絡して」
『うん』


ショッピくんに手を振って教室へ戻ろうとして、何の気なしに振り向くと、ちょうどショッピくんが飲み物の棚からココアを手に取るところだった。特別な意味はないのだろうけど、ちょっとだけ、そわそわするのは仕方ないことだと思う。





水族館の最寄り駅に11時集合。辿々しく始まったメッセージのやり取りは、やがてそこに落ち着いた。ちょっと勇気を出して楽しみ！と送ると、数分空けて俺も、と返ってきて、スマホを握りしめてベッドで転がり回った昨夜。楽しみすぎて寝付きは悪かったけど、漫画やドラマのように寝坊することはなくしっかり早起きして、念入りにナチュラルメイクをして攻めすぎない服に着替えて余裕を持って家を出た。駅に着いたのは待ち合わせの15分前で、ちょっと早すぎたかなと思いながら改札を通ろうとしたら、どうやら同じ電車に乗っていたらしいショッピくんと鉢合わせる。


『おはよ、早いね』
「おはよう。そっちもな」
『楽しみすぎて』
「ふは、俺も」


び、っくり、した。心臓撃ち抜かれたかと思った。メッセージ越しでも破壊力抜群だったのに、面と向かって、しかもそんな、ちょっと眉を下げて笑いながらなんて。


『じゃあ早く行こ！』


あーーーもーーーすき！なんて叫び出したくなるのを我慢して、勇気を出していつも学校で会うときよりちょっとだけ近い距離に立って言った。ショッピくんが、ん、と小さく頷いて歩き出す。暗めの色合いの、シンプルな服装。なのにめちゃくちゃかっこよく見えるのは、平均以上の顔とスタイルのなせる技か、それとも恋のフィルターの力か。うーん、どっちもかな。


『水族館とか久しぶり』
「俺も最近来てへんわ」
『あんまり来ることないよね。クラゲ楽しみだなー』
「クラゲの水槽ってずっと見てまうよな」
『わかる』


駅から歩いて数分の大きな水族館。チケットを渡して入館して、大小いろんな水槽を、2人でわいわい言いながら進んでいく。


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