【完】ふりむいてパープル【d!】【shp】

ラ ページ12

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好きなんだろうなあ。なんて頬杖をついて、昨日のショッピくんの笑った顔なんか思い出しちゃったりして。完全に恋する乙女のスイッチが入ってしまった。どうやらわたしはショッピくんのことが好きらしいと自覚した今、授業中だろうが休み時間だろうが関係なく明後日の水族館デートに思いを馳せてしまう。いやデートじゃないんだけど。


「どしたん今日、ずっとあほ面やで」


失礼すぎることを平然と言うチーノのことも今のわたしは許せちゃうわけで。これが恋する乙女のラブマジックなのだ。いやさすがにダサすぎるわやっぱ今のなしで。


『ねえ水族館ショッピくんと行くことになった』
「え！もしかしてショッピとの水族館デートが楽しみすぎてうわの空ってこと？」
『は？きも』
「なんで突然シンプルな悪口……」


図星すぎて流れるように悪口が出た。ごめんねチーノ、でも勘のいいチーノは嫌いだよ。突然のきもいにわりとショックを受けているチーノを横目に、どんな服着ようかな、と自宅のクローゼットを脳内で開ける。この前買ったフレアスカートは地味すぎる、かと言ってお気に入りのタイトスカートは攻めすぎだし、ワンピースはあざとすぎるかな。そんなことを考えているうちにいつの間にか数学の授業が始まって終わっていた。やばいまたショッピくんにまじかこいつみたいな目で見られる。あ、でも次のテスト前に数学を教えてもらう建前で一緒に勉強とかできちゃうかもしれない。なんて、わたしはわりと強かな女なようだ。4時間目の数学が終わって今は昼休みなので、今日はお弁当持参らしい友達に一言かけて売店に向かう。メロンパンの気分だな。


「え」
『え？』
「メロンパン2つ買う人初めて見たわ」
『違う違う、メロンパンと、チョコチップメロンパン』
「いや何が違うねん」


お会計を終えたメロンパンとチョコチップメロンパンとパックのココアを抱えていたら、同じくお昼は売店らしい、レジに向かう途中のショッピくんにわりと引いた目で見られた。ショッピくんの手にはカロリーメイト。いや男子高校生のお昼ご飯がカロリーメイトだけのほうがどん引きなんだけど。


『ショッピくん、それだけじゃ死ぬよ。わたしのココア飲む？』
「メロンパンじゃないんや。いらんけど」
『メロンパンはちょっと』
「どんだけ好きやねん」


傍から見たら漫才みたいなやり取りをしていれば、ショッピくんがいやそうじゃなくて、と思い出したようにポケットからスマホを取り出した。


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