予測不能。 ページ13
高いらしいもこもこコートでも、大事らしい部屋着でもなく。
ショウサクライの匂いが、本人からする。
な……んで私……抱きし……
「くっそ！違う！」
「っは？」
「だめだだめだ！夜中はだめだ！」
「ひ？」
「寝る！」
「へっ？」
おおっと！考える暇も無かったよ？
私は……喜ぶとか浸るとか、そうさせて貰う間も与えられず。
翔はイライラドタバタ？足音させて。
一度消えてすぐ戻ってくると、例の部屋着を押し付けて一言、低ーく言った。
「おまえ玄関」
「っふ？」
「俺は風呂入るけど。ぜってぇ覗くなよ！」
「……ほ？？」
えー！えー？
扱いが大変悪くなってやしませんか？
玄関で寝ろと？風呂覗くなと？その発言もちょっとおかしいですけど！
「待って！私、話がまだ、」
洗面所のドアが閉まるギリギリのところに足入れてフンッて止めに入ると、
おっそろしい顔した翔が逆に扉を勢いよく開けたから……
「おぉっ！ちょ！……予測不能なことしないでよ！」
勢いよく洗面所に突っ込んじゃって。翔の体にドーン！て。コントか！
「あほ。それはこっちのセリフだわ」
「何が！」
「全部だろ全部！ったく……話？俺も話すべきことはあるが深夜のテンションで話したくねーし。とにかくもう寝たいの、仕事に差し障るだろ。明日……朝話すから。ちゃんと起きろ。……わかった？」
「……っな、に……なん、」
「マジで……困った奴」
怒ってるのに。困らせ……てるのに？
声はちょっと優しいとか、ずるい！頭ポンポンとか、漏れなく女子がキュンするやつですから！
もう無理、もう……
朝とか無理！溢れちゃうもん、ダダ漏れだもん。
「……好き」
「ハァ」
「なっ！んで溜息！だって！翔が！」
「おまえね……俺を死なせたいのか」
「ッノゥ！」
溜息と小さな笑い。呆れた声……でもちょっとだけ柔らかくて。
……再び抱えられてた。
さっきより……気のせいか強めに。
「そうだろうと思ったわ、もう。それで全部納得するっつーか。だから俺も考えてみたけど」
「……」
「俺のはたぶん、おまえの言うソレとちょっと違うから。明日説明する」
「説明……」
なんだそれ。
そっか……優しく拒絶してるのか？そうだよね、家族愛とか言ってたしね？
涙は出なかった。
それよりむしろ、ぎゅってされてる喜びのほうが何十倍にも勝ってて。
「……好き。ごめん……なさい」
……あと1回だけ。
ちゃんと言って。ぎゅって……目一杯甘えた。
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作者名：みつな | 作者ホームページ：
作成日時：2015年11月30日 23時
