50枚目 か細いナイフが一等効く ページ50
「明日から移動できるんで」
ビニール袋、トラゾーは唯一見える口を開く。
『まじで数日じゃん』
「そらもう頑張りましたよ」
この数日感客の対応しかされてないが。
『お前らもうちょっと警戒心とかないの？』
「悪い人じゃないでしょ、貴方」
『なんで分かるんだよ』
「だって初日、イナリさんに破片向けなかった」
トラゾーは表情を変えず、口角をあげたまま爆弾を落とす。
「それだけで私にはいい人に見えるさ」
『監視カメラついてんのかここ』
「さてね、それを教えるほどは優しくない」
一番まともな対応だな。
「だけど、少なくともあなたに危害は加えない。それだけは信じてほしい」
『信じるも何も、私がどうこうしても何も出来ないよ』
「貴方の」
『え』
「！」
今の高い声誰の声だ。辺りを見回しても高い声を出す死神はいない。というか死神の声質じゃない。
「それは、呪いなの？」
「イナリさん？」
『イナリさん！？』
初めて声聞いたわ。随分可愛らしい声だな。
「・・・ずっと、後悔してるの？」
可愛らしい声は、残酷に私の急所に爪を立てる。
『は、なに、いって』
「自分を卑下し、自分を貶め、他者を尊重する」
がりがりと、引っかかれてる。
今まで受けた暴力の中で一番痛い。
一番辛い。
「何かがあったから」
音がうるさい。なんだこれ、動悸？いや、呼吸音？掃除機みたいな喧しい音。うるさい。肺がせわしなく活動する。辞めてくれ。落ち着け。
『なにを、知ってんの・・』
手足の先から体温が抜けていく。
「分からない。わたしには、あなたが寝言で言った言葉しか知り得ないから」
『寝言・・・？』
イナリは仮面を外す。白い髪に、白い肌に。小さな唇を開け、喉を震わせ、声を発する。
「ごめんなさい、って。誰に？」
『それ、はー』
「おっと」
「あ」
「気絶しちゃった？」
「えっ」
「駄目だよイナリさん、言い過ぎだって」
「でも言わないとわからないから」
「わからない？」
「傷が深い人ほどね、傷から目を背ける。痛くないって言い張る。でもそれはなんの解決方法にもならないの」
「トラゾー殿も気をつけてね」
「え、うん。イナリさんも辛いときは辛いって言ってね」
「・・多分この人には、そう言える人がいないのね」
「そうかもしれないね」
イナリさんの口調全くわからん。
つぎいくぞつぎ！！！！！！待っててね！！
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ねこ娘(プロフ) - うあ〜〜とても面白いです泣いてしまう…正論しか述べない主人公とても好感が持てます、こんな大人になりたかった……主人公を攫ったのが日常組だとわかった時のなんとも言えない笑みの溢れる感覚、素晴らしかったです(マニアック)続きも楽しく読ませていただきます！ (2021年1月18日 2時) (
レス) id: 5a39984025 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくり - 会社の説明草 (2020年10月10日 18時) (レス) id: f170f9c90f (このIDを非表示/違反報告)
もちねこ。(プロフ) - まじむりですすきです (2020年8月26日 16時) (レス) id: 060862f232 (このIDを非表示/違反報告)
#よにん。＠str48＆変人系カップル(プロフ) - めっちゃ...好きです。 (2020年8月13日 3時) (レス) id: 024f1c0ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ムギ - 続き待ってます！無理しない程度に頑張ってください！ (2020年7月22日 0時) (レス) id: 93c05af962 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧月
| 作成日時：2020年3月26日 12時
