Q.社畜は軍国に来ても働くのか

21枚目 わざとみたいな ページ21

「あれ」
『あ？』

「あ」
「うん？」

見たことのある顔とない顔が。

「知っとる？」
『分からん』

チーノと誰だもう一人。なんで室内なのにヘルメットしてんの。地震対策はばっちりってかやかましい。

「はじめまして、ショッピです」
『はじめまして』

握手に応じれば、チーノが不満げな顔をする。だからお前は針仕込んでたでしょうが。

「キョウカさん、ですよね」
『そうだよ』
「よろしく。まぁあんま会わんと思いますが」
『せやなよろしく』

この距離感たまらなくいいな。距離感大切。この冷めた対応、死んだ目の同僚を思い出すよ。

「二人は何してるんですかぁ？デート？」
『もう一度語尾伸ばしてみろお前のベロも伸ばすからな』
「えっこわ」

頭ゆるふわな顔面だけで生きてきた後輩思い出すからやめろ馬鹿。

『そして残念なことにデートじゃない。いま案内してもらってんだよ』
「へぇ」

「珍しいやん、ゾムさんが人に優しいなんて」
「俺はいつでも優しいやろチーノ。今日は夕飯隣の席座ろうな」

なんだチーノが急に真っ青になったしショッピが吹き出したが食事のとき何があるんだ。

取り敢えずゾムとは飯食わないほうがいいって本能が告げてる。

「んじゃ、まだ城案内終わってへんから」
『まだあんの』
「当たり前やろ、昼飯前には終わらすで」

二人に手を振り、私らは廊下を歩き出す。





「珍しいな」
「何が？」
「ゾムさんがあんなに親しくするなんて」
「せやな、たしかに」
「お前が仲間以外に素を出すのも珍しいけどな」
「・・バレてた？」
「詐欺師の名が泣くで」





「いやぁ、あの人の前じゃショッピ、お前もその涼し気な仮面剥がれるで」


「・・・は？」









『へっくしょい！！！』
「うっわ」

『花粉かな』
「うっわ」

『ドン引きするんじゃねぇよ』
「可愛くないくしゃみやな」

「っ、くしゅ」
『うっわ(殺意)』

殺すか

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